円建て国債ならデフォルトしないのか

「自国通貨建て国債が『デフォルト(債務不履行)』になるわけないだろ。」(作家・三橋貴明氏のブログ「新世紀のビッグブラザーへ」)
恐らく三橋氏は自国通貨建ての国債の償還は増税や通貨の印刷で対応可能という前提なのだろう。しかしどちらの手法も国民がそう易々とは認めないものだ。即ち政治家も決断しにくい。償還時までに手当が間に合わなければ結局デフォルトになってしまう。

政治的困難さはともかくとして国債償還のような巨額な債務不履行が起きると国債の保有者が損するだけでなく、その影響は社会全体に及ぶ。よってデフォルトは必ず回避されなければならないのだが、増税というデフォルト回避手段は国民の財産の一部没収だから国民全体が大きな犠牲を払う。国債の日銀引受けも同じことだ。

国債を大量に発行しても財政破綻が起きないということは、国民が大きなツケを払わせられるということである。

「バブル崩壊以降、日本の貯蓄率はグングン低下して、その期間、国債金利もグングン低下している現実」
また家計の貯蓄が減少することが国債消化の障害になり財政破綻に繋がるという見方について三橋氏は否定的考えを持っているようだ。
しかし今後家計の貯蓄の多くが輸入品の購入に向けられるようになったら、即ち経常収支の黒字幅がどんどん狭くなっていけば新規国債の市中消化も困難な方向に向かう。あるいは円建て国債だけでは消化できず、外貨建てでの発行を余儀なくされるかもしれない。
三橋氏は国債の今後の償還や借り換えについてあるいは日本の経常黒字の継続性について楽観視し過ぎではないだろうか。

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ノーベル賞受賞者に文化勲章は要らない

今年度の文化勲章受章者と文化功労者が26日に発表された。
文化勲章受賞者7人の中には今年のノーベル化学賞を受賞した鈴木章氏と根岸英一氏も入っている。
文化功労者は17人、プロ野球選手としてホームラン記録を打ち立てた王貞治氏も選ばれた。

ノーベル賞受賞者に対しては文化勲章も送られるというのが慣例のようになっているが、追従するように文化勲章も授与すべきであろうか。

ノーベル賞は誰もが認める世界で最も名誉ある賞である。受賞者の名声はその専門分野の中だけに留まらず、世界中のあらゆる層の人々に響き渡る。そのノーベル賞受賞後に同じ業績について再び表彰しても効果は薄いのではないだろうか。

王貞治氏にも同じ様なことが言える。王氏は日本のプロ野球界で活躍した国民的英雄でありホームランの数で世界記録を達成した。「ホームラン王」と称される。現在も他の選手が記録更新する目途は全く立たずその地位に揺るぎが無い。選手を引退後も監督として福岡ダイエーホークスを優勝に導いた。国があえて表彰しなくても国民の間での王氏の存在感はとてつもなく大きい。

国が表彰すべきなのは、社会に対して功績があったにもかかわらず未だ表彰されていなかった人に対してではないだろうか。国民の多くに活躍が知られていても権威ある賞とは無縁だった人もいいだろう。他には業績を上げていても国民の間では無名のままの人に対しての表彰も活躍分野を注目してもらう点で大きな効果がある。

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TPP参加の損得

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加した場合の影響について、
農水省の試算は関税の即時全面撤廃が前提。農業生産額は4兆1000億円、実質GDPは7兆9000億円(1.6%)それぞれ減少するとしている。
農水省は安い輸入農産物が流入して国内農業生産が減少すると予想。食料自給率が現在の40%から14%へ低下し、食品関連産業を含め雇用が340万人減るとみている。
(27日時事通信)

農林水産省の試算によれば輸入農産物と競合する農家とその関連産業は、壊滅すること間違いなしのようだ。
しかしそれ以外の国民にとっては、もう高い国産農作物を強要されなくて済むのだ。実質GDPの減少額7兆9000億円とは国内の消費者が仕方なく買わされてきた金額である。その分のお金が、もっと安いあるいは、もっと美味しい農産物購入に向かう。
TPPによる関税撤廃で生じる失業とは無縁の大部分の国民にとっては得である。

GDPが減少すれば政府の歳入の減少要因となる。ただし元々納税するどころか補助金漬けの農業を中心に産業が消滅していくのだ。1兆程度の農業予算の内、農家減少の為に歳出削減出来る部分の方が減収額より大きくなるのではないか。農村自体が消滅すれば、その地域への公共投資も不要になる。よって政府の財政負担が軽減する可能性もある。

関税撤廃でも存続している企業はもちろん得するほうだろう。家計だけでなく企業も何かしら物を購入する。農産物を含め国内製品に限定されず最適な物を関税障壁無しに仕入れることが出来るのは得に違いない。輸出企業なら国内の輸入が増えれば為替の円高への進行が緩和する点も有難い。毎年最大7兆9000億円も流出すれば政府・日銀の為替介入よりずっと効果的な円高是正対策になるだろう。

日本は少子化による将来の労働人口不足が心配されて久しい。
しかし、関税撤廃で雇用先が340万人分も減少すればもうそんな心配も遠のいて行くのではないか。
国内生産では効率が悪く勝ち目が無い分野の産業は輸入品で代替し、順に消滅させること、それが外国の労働力を利用する上で摩擦の少ない方法である。
自由貿易の振興で将来の労働力不足の緩和も可能なのだ。

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自衛隊観閲式

24日自衛隊記念日記念行事「観閲式」が陸上自衛隊朝霞訓練場で実施された。
実施規模人員約3,800名、車両約240両、航空機約60機
「観閲官」として菅首相、「主催者」として北澤防衛相が参加した。

観閲式は自衛隊創立記念行事として毎年陸海空の三自衛隊が持ち回りで実施するが、国家が財政難に直面している中どうしても実施しなければならないことであろうか。

わずか一時間程度の間、自衛隊員、戦車、ミサイル部隊など行進そして航空部隊の編隊飛行が続く。
おそらく前もっての予行練習も入念に行われていただろう。首相をはじめ防衛相その他の政治家そして招待客を集まる当日は警察の警備も大掛かりだ。たくさんの人員とお金を投じているに違いない。

もし自衛隊が国民に見物として人気があるなら、なにもわざわざ(人気の無い)政治家と抱き合わせて行事を開く必要ない。毎回同じ場所で力を入れて行うのも不公平だ。政治家抜きで全国各地の基地での開催だけの方が警備も楽だろうし、地域に偏らず多くの国民が接しやすくなる。

今年の観閲式の開催直前に奄美地方が豪雨に襲われ、死亡者も出す甚大な被害を出した。
自衛隊も災害派遣要請を鹿児島県から受けたが、当初悪天候のためヘリコプターが飛ばせず要請を拒否した。自治体としては悪天候がもとで派遣を要請する羽目になったのだが、自衛隊は期待に添えなかった。

せめて観閲式を中止して、奄美地方の天候が小康状態のときに人員を振り向けることは出来なかったのだろうか。観閲式の企画・実施よりも、迅速に被災地で活躍するこそ自衛隊の存在を知らしめることが出来る。悪天候時の移動手段の確保して、またとない機会を逃さないようにすべきだ。

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海上自衛隊潜水艦耐用年数延長で20隻超体制

防衛省が中国海軍に対抗して、海上自衛隊の潜水艦を現在の16隻体制から22隻くらいに増強する方針だ。
今までは毎年1隻就役させ、16~18年の耐用年数の間使用した後退役というサイクルで16隻を維持してきた。
今後は5年程度延長して使用し、運用する潜水艦の総数を増やすらしい。

要は、古くなって廃棄していた艦船を数年余計に使うと言うことだ。
防衛費が増やせないのが根本原因であるから防衛省だけを責める訳には行かない。

しかし本来の耐用年数を過ぎて使用するというは、大げさかもしれないが潜水艦の乗組員を事故の危険に晒すことに他ならない。
潜水艦の最悪の事故は、想像するにおぞましい。
それとも民主主義の政治というのは問題が露呈してからしか予算が増えないと諦めるしかないのか。

そして潜水艦増加に伴い、当然必要な乗組員も増やさなければならない。潜水艦という窮屈で居心地の悪い場所での任務が務まるなら、きっと別の劣悪な条件下でも役に立つ人材であるに違いない。はっきり言えば勿体無い。よりによってそんな彼らを本来なら廃棄していた艦船で働かせるとはやりきれない。

事故や相手から攻撃に対し脆弱な点で共通する偵察機は無人化されたものの導入が計画されている。
潜水艦も同様に無人化の開発と配備を急ぐべきではなかろうか。

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一票の格差を放置して損する民主党

なぜ民主党は念願の政権交代を成し遂げたにもかかわらず、真っ先に選挙制度の改革に手を付けないのであろうか。

自民党は有力な支持基盤の選挙区について有権者の少ないまま議員定数を多めに保持してきた。よって自民党政権はホンネでは一票の格差を悪いと分かっていても平等に是正する気はなかったのだ。自民党が権力を失った今こそ、一票の格差を一気に無くす絶好の機会である。
一票の格差是正は自民党に不利に働くが、一票の価値を公平にすることに表向き反対出来る人はいないだろう。

一票の格差是正は政敵である自民党を追い詰めるばかりでなく、同じく不当に一票の価値が高い選挙区が地盤である農業関係者の政治的影響力を削ぐことが出来る。
自由貿易の交渉は、国内の農業関係者の国政への影響力が小さいほど楽に進む。

民主党は、国民の一部に根強い反対があることを承知した上でなぜ外国人地方参政権付与法案を半ば強引に早々と通そうとしたのであろうか。
付与対象とされる一般永住者と特別永住者を合わせても90万人程度にしかならない。仮にすべて対象者が全て民主党の支持者と化しても、代わりに次の国政選挙でそれ以上の得票数を減らしてしまうだろう。

その点一票の格差是正は、有権者が多いのにもかかわらず議席配分が少ない大都市の選挙区に強い民主党の追い風になる。格差是正をしたという理由だけで去っていく支持者は不当に一票の価値が高かった選挙区の有権者だろう。しかし格差是正によって彼らの影響力は大きく削がれるのだ。

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河村たかし市長 交付税交付金を受けつつの減税

名古屋市が国から地方交付税交付金を受けながら、住民税10%減税を掲げていることに批判がある。みんなの党の江田憲司幹事長が名古屋市の減税を無責任と言っているようだ。(産経新聞)

しかし、そもそも地方交付税交付金の制度自体が不公平な制度と言える。現行制度では税収が少なければ国からお金が貰え、税収を上げる努力は不要である。
河村市長は、他の自治体がやっていることを最近になって追従したに過ぎないのだ。名古屋市が地方交付税交付団体になったとは言え、恐らく名古屋市民全体が納める国税に比べてれば大した交付金の額にはならないのではないだろうか。
むしろ名古屋市民は今まで長い間国から税を取られるだけ取られて何も貰えず、他の自治体に対し間接的にお金をやっていたともとれる。

地方自治体に財政的自立を求めるなら、地方自治体間の再分配のような地方交付税交付金の制度を廃止すべきである。
国の関与は子どもの養育や、老人の保健の分野ぐらいで十分だ。

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「農家のため残りが犠牲」

「農家のため残りが犠牲」=環太平洋連携の反対論けん制-前原外相
「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか」
「国を開くということを本気で考えないと、日本の競争力はどんどん低下していくと思う」
(時事通信)

自民党に限らず民主党の中にも農業関係者を保護しようとする向きが少なくない。
そんな中での前原外相の踏み込んだ発言である。

農業を例外としない自由な貿易によって、
●国民全体では、世界中から欲しい食料が手に入る
(多分食費が安くなる)
●貿易相手国の関税が下がるので輸出企業の競争力が増す
●農業を含む競争力の無い産業が輸入品増によって潰れ、円高が調整される
●農家が減れば、農家に対する補助金を減らすことが出来る
●農家が減れば農家の使っていた水が不要になり、水不足が解消する
●その他の農政の歳出も減らせる
●農村が消滅すればその集落に公共投資や社会保障も不要になる
など全体的には日本に利益がある。

頑なに外国の農産物輸入を禁じて国内農業を保護しようとしても、すでに農家の高齢化は著しく、いずれ農業従事者は激減する。遠からず過疎地の農村の多くは消滅するだろう。

農業保護に見切りをつけて、人材やおカネを別の分野に振り向けるべきではないだろうか。

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日本の学校は途上国の手本になるか

GCC(中東湾岸)諸国人材育成支援事業訪日団の表敬を受ける。
中東諸国の教育関係者の方々が来日される。
皆が高い教育水準を誇る日本の教育について学びたいと、目を輝かせて話されていた。

(参議院議員・徳永久志氏のブログより抜粋)
このごに及んで、日本の教育について学びたいと思っている外国の方がまだ存在するようだ。
(それとも大して意味の無い社交辞令だろうか)

確かに第二次世界大戦後の数年を除いて白人の支配を受けず発展した歴史的事実、そして日本から輸出される工業製品を手にしたときの感触から日本に憧れる気持ちも生じるのだろう。
しかしそれらは、言ってしまえば遠い過去に実現してしまったことである。
現在の学校が過去と同じものではないし、また現在の学校制度が正しいとも断言できない。

日本の現状は、
●小学校で7割、中学校で5割、高校で3割しか授業についていけないという無駄がある。

●学校に長時間拘束されているのに、さらに同じ教科を塾で勉強しなおす非効率を強いている。
(本来塾は勉強の出来る子だけが追加的に学ぶために行けばいいだろう)

●9年~18年も学校に通った挙句、就職できない人が少なからずいて「卒業」の価値の低い。
難点を上げればキリが無い。

そして現在の学校は、子どもから若い頃の掛け替えの無い時間をたくさん奪い、親には少なくない金銭的負担(税を含めて)を強いるなど負の側面が目に余り、途上国の見本としては相応しくないのではないか。
我々日本の社会こそ子どもたちの環境を変えていかなければならないのだ。

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プロ野球球団買収の意味

松沢成文神奈川県知事「会社の宣伝さえできればいいという論理に違和感を感じる」
林横浜市長「わたしは経営者だったので、株主に説明しようという気持ちはわかる」

(日刊スポーツ)

比較的無名の企業が従来の顧客以外に対し知名度を上げること、それこそ企業にとっての球団買収の第一の目的であろう。
楽天は近鉄球団買収によって、世代を超えた知名度の獲得に成功した。またJリーグの東京ヴェルディは人気の低迷のせいもあって企業の協賛集めに苦労している。
マスコミによる球団経営でさえ、企業宣伝から発生する収入とは無縁でないはずだ。

一般的には全く無名だったリース業のオリックスが球団買収により知名度を上げた後、暫くして球団を他の球団と合併するという手段に出た。そういう手法も許容されていい。企業も球団も生き残りを賭けているのだから仕方があるまい。

松沢知事のようにキレイ事と並べても球団経営は一向に好転せず、もしかしたら他の地域に移転するかもしれない。
それは神奈川県にとって得であろうか。
球団を県内にとどめることについて松沢知事も損得勘定してみるべきだ。

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