南スーダンへの自衛隊派遣に対する疑問

読売新聞の報道によると、政府は南スーダンでの国連平和維持活動へ自衛隊を派遣する方針を固めたという。300人程度の陸上自衛隊の施設部隊を送り、道路や橋の建設・修復にあてるのがその内容である。

20日に訪米し、国連総会に向かう野田首相の「手土産」といった感があるが、随分と割高な贈り物だ。

■社会基盤整備の参加に「日本人」の「軍隊」である必要は全くない
自衛隊を派遣するに当たっては、当然隊員の人件費が掛かる。PKO業務に従事する隊員には通常の給与の他、日額20,000~4,000円の「国際平和協力手当」が加わるという。恐らく殆どの諸外国の兵士達には、考えられない高額な手当に違いない。

他方、陸上自衛隊(軍隊)の持つ橋や道路の建設能力とは元々自らの部隊の移動を目的としたものであろう。その特徴としては極めて短時間での建築物の完成と暫定的使用にあるはずだ。長期間の内戦で荒廃した国土の復興とは求められることが違う。

例え自衛隊員が現地の人を指導して建設・修復作業を任せる方に回ったとしても、先に記した手当まで受け取る日本人で構成する自衛隊の「費用対効果」は芳しくなさそうだ。

途上国の橋や道路の建設・補修なら途上国で実績のある建設会社が仕切れば必要十分ではないか。日本の会社、日本人の指導・作業である必要など全くない。むしろ事業への現地人の積極的な参加が、長い目で見れば現地の持続的発展に最も資する。

■治安対策にも途上国の人材の活用を考えるべき
以前にパンギムン国連事務総長が自衛隊の派遣を求めていたのも、現地の治安に問題が多々あるからに違いない。物資の盗難に始まり、海外からの援助事業そのものへの抵抗もあるかも知れない。

しかし、だからと言って橋や道路の建設作業そのものを軍隊が引き受ける理由にならないだろう。どのみち誰が工事に携わろうと、結局別の者が事業の現場を警戒することになるのだから。

また先進国の軍隊が事業者の安全確保に最適とも限らない。建設作業に携わる者にすれば、何より同じ出身国の武装組織が安心かもしれない。国際社会で費用負担を分かち合えるなら途上国の事業者・軍隊に予算を割いた方が、費用対効果の点でより多くを期待できるのではないだろうか。

かつて日本の貿易黒字問題がアメリカとの政治問題になり、儲けたことへの後ろめたさか「国際貢献」という言葉があがり始めた。自衛隊の海外派遣もその国際貢献が大義名分となっている。

しかし貢献であれ各自が相対的に得意なことで協力し合えば高い効果を生むことが出来る。諸外国に比べ日本には若年労働者の余剰感がない。端的に言って日本が持っているのは、カネである。内戦の終結した地域に対し日本が兵士と資金のどちらを提供すべきかは自明ではないか。

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