小沢一郎氏の主張 国有資産証券化

国の保有資産が多すぎる

民主党代表選で小沢一郎氏が国有資産の証券化を主張している。本人の弁によると、600兆円と言われる国有財産のうち、200兆円ほどが証券化できるそうだ。

対し菅首相は、道路、自衛隊の基地、皇居などを例に上げて、国有資産は証券化にそぐわないと反論している。
そもそも国有資産のうちどれが証券化できるかについて小沢氏から具体的に指摘が無いので、小沢氏と菅首相の議論がかみ合わない。

証券化可能額が200兆円に達するかどうかは分からないが、現状の利用未利用状態を問わず現金化できる国有地やその他の財産が必ず存在するのではないだろうか。

よく話題になる国有財産に官舎があげられる。家賃が近隣の相場に比べて不当に安いのではないかと言われる。立地は仕事上の必要性があり、また家賃の安さも公務員たちの気持ちとしては待遇に織り込まれているのだ、といわれればそれまでだか、土地の所有・利用形態を民間の手に委ね公務員の宿舎としての利用の他に何か付け加えることが出来たらなおいいだろう。

国立大学はどうだろう。必ずしも大学が大都市の中にある必要は無い。国立大学がその地に出来た頃は恐らく周辺も現状とは程遠い閑散とした土地だったのではないか。
現在地が土地だけで大きな価値を持つなら、売却・移転も有効な選択肢だ。

小沢氏は証券化と表現するより、ズバリ国有資産の売却と言った方が国民に分かりやすくて良かったのではないだろか。国の財政のためだけでなく、民間による国内の資源の有効利用を訴えても良かった。

また証券化と言えば、株式会社化された郵政事業も株式の売却が全く進んでいない。

いづれにせよ、国債という借金を重ねる前に手放せる(手放した方がいい)国有財産を先に処分すべきだ。

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オリンピック代表選手は国民の代表か

北京オリンピック柔道男子100キロ超級の金メダリストで現在総合格闘家の石井慧氏が、将来アメリカ市民権を取って2016年のリオデジャネイロオリンピックを目指すという話がある。
既にロサンゼルスに練習拠点を移しているそうだ。

パンクーバーオリンピックでは川口悠子氏がロシア国籍を取得してフィギュアスケートペア競技ロシア代表として出場した。日本国籍を離脱したのだ。

また、今までほとんど日本で暮らした経験が無いのに片親が日本人ゆえに日本国籍を持ち、オリンピック日本代表として選手になった人もいる。バンクーバーオリンピックフィギュアスケートアイスダンスのキャシー・リード氏とクリス・リード氏やアトランタオリンピックで100メートルハードル競技に出場した金沢イボンヌ氏がそうだ。
確かどちらも、自分の気持ちを素直に話すのには日本語より英語の方が自然らしい。顔つきや表情もあまり日本人的ではない。

国民はオリンピック選手を我々の代表として関心をもつわけだが、選手の内心はどうなのだろうか。

もちろん日本人代表として自覚が何より大きいと感じている選手も多いだろう。

しかし、選手の中には世界最高の舞台に立てるならどの日本人代表という枠にそれほど拘っていない人が結構いるのではないだろうか。世界の頂点に登るためコーチやパートナーに限らず代表枠も国籍にとらわれていない選手がいる。中にはオリンピック選手になれるなら今まで練習を積んできた種目にさえ見切りをつけ、出場の見込める全く未経験のスポーツに乗り換えることも辞さない人もいるに違いない。

恐らく今後も大体の選手は出身国の代表と自認してオリンピックに望むであろう。

しかし、個々の選手の本心はどうなのか分からないし、出身地が同じだからといって彼らの活躍に一喜一憂しても単なる「片思い」であるかもしれない。

選手の気持ちを差し置いて、政府が税金を投入してまでメダル獲得を目指すというのには賛成できない。
これまた政府の片思いかもしれないし、選手のなかには自分のためなら、どこの政府(≒国民の税金)でも利用してやろうと考えているに過ぎないかもしれない。

どの国籍を取って出場するか選択の余地があるなら、それは選手の自由。またオリンピックも見せ物のひとつであり、どこの国の誰を応援するかは全くの自由。政府の深い介入は余計だろう。

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司法修習生「給費制」維持反対

いままでは、弁護士、裁判官、検察官になるための登竜門である司法試験合格後、一年間の司法修習期間に給与が支払われてきた。
それが今年から廃止になる。

マスコミの報道の仕方として、金持ちしか法律家になれなくなるから給付を続けるべきだという声を載せる一方である。

しかし、数百万の開業資金の必要な仕事は世の中にいくらでもありそのほとんどは政府から給料を貰って商売を始めているわけではない。弁護士開業予定者だけ特別扱いする理由が分からない。

もちろん開業にかかる費用は少ない方がいい。
その点から考えると、法科大学院で弁護士に必要な学習は全て終えて、試験で学力を確認できたら即弁護士の資格を与えたらよい。

給付費維持にせよ合格者の調節によって弁護士業の需給を調整しようとすることにせよ、他の職業に比べて考えが甘過ぎるのではないだろうか。

限られた市場で供給者が殺到すれば過当競争は避けられないのは当たり前のことなのだ。

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日本は輸出依存度が低い?

いったい、この日本のどこが「輸出入に頼らなければ、経済が成り立たない国」なのだろうか。全く理解できない。

作家・三橋貴明氏の日経ビジネスオンラインの連載「国債増発こそ日本を救う」9/7号の中の一文だ。
三橋氏は輸出依存度(製品の輸出額÷名目GDP)という数値で日本は主要国中最低水準という事実から、上述の結論を導いている。

しかし日本は食料の大半、石油石炭天然ガスのほぼ全量を輸入に頼っている。それらを国内で自給できる見込みは全く無い。輸入できるのは同額以上の収入(輸出)があってこそである。
それとも三橋氏は、過去に積み上げてきた日本の海外純資産の運用だけで食料や化石燃料の輸入総額の相当する額(現在は二十数兆円程度)を延々と稼ぎ出すことが出来るとでも考えているのだろうか。

また記事の中で将来の世界のインフレに備えるためには、生産能力や供給能力を削減するのは望ましくないとも主張している。

しかし現在持て余している生産設備から出来る商品(そしてその価格)が将来に渡っても市場に通用するとは限らない。仮に生産設備自体に問題が無くても他の人件費の安い国には太刀打ち出来なくなっている可能性もある。

第一、政府が旗を振らなくても個々の企業が将来の需要を分析するだろう。そしてそのために最適な投資を選択する。

国民や政府がすべきことは、何らかの役割を担うことが出来る人材(賃金水準)を供給することや企業活動しやすい場所の提供である。
決して既存企業の温存でないはずだ。

関連記事:一部のインフラの存続に見切りをつける必要性
                  「お金は使っても、消えない」のか
                  国債残高は危険水準

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高校無償化に便乗した高校の税金の取り合いがもう始まった

いずれ高校授業料無償化政策が単なる学校に対する補助金が徐々に変質していくとは思っていたが、もう始まっていたとは想定外だった。

公立高校は文字通り授業料が無料になったが、私立の高校生の場合公立高校が値下げした分に相当する金額を国から直接貰うことは出来ない。そのお金は私立高校に対し就学支援金という名目で支払われ、その分授業料が値下げされるという間接的な給付になる。

以前から私立高校には成績優秀ゆえに授業料を全額免除されている生徒がいる。
ところが、国から就学支援金を学校がもらうために全額免除受けていた生徒から就学支援金相当分を授業料として一旦徴収して同額の奨学金を払うという私立高校が出てきたようだ。(時事通信による)
対象の生徒は何の得もしていないのに、私立高校だけが高校無償化に便乗して税金を受け取ったことになる。

私立高校の言い分は、授業料を全額免除されている生徒が就学支援金の対象にならない法律こそ(学校経営上)不公平ということだろう。全額免除の約束を反故にしても実質無料なのだから学校側としては貰えるものは貰うと。
しかし高校生をかかえる家庭の負担を軽減するという高校無償化の趣旨により忠実な方法として国から直接家庭にお金が渡される仕組みであったら、成績優秀な生徒を渇望している学校は引き続き授業料を免除し続けたのではないだろうか。

子育て支援なら、学校に対してお金を払うより子どものいる世帯に直接渡すのがよい。ひも付きでないお金の方が授業料の改定という名の下の便乗値上げを若干だが抑制できる。高校へ行かず就職する人もいることを考慮すると、より幼少時の手当を厚くして高校生の年頃には給付しないというのも手だ。
きっと家庭への直接給付には私立高校関係者は反対だろう。生徒のことを思うのではなく、高校無償化で制度化された就学支援金は民主党政権誕生で転がり込んだ学校経営上の既得権益だと内心思っているはずだからだ。

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為替介入でも金融緩和でもない円高対策

円高で輸出産業が困っている今、政治家もマスコミも対策は政府の為替介入か日銀の金融緩和しかないと言わんばかりの一辺倒な姿勢だ。
しかし輸入を増やすことこそ為替相場を円安に向ける根本的な解決ではないだろうか。

円高はある意味、絶好の好機でもある。そして為替介入だけが円安誘導策ではない。円が強いうちに、世界から買えるものは買っておくべきです。

例えば、資源のないわが国なのだから、鉱物資源やエネルギー資源の採掘権を、向こう何年間分か前払いするかたちで購入したらどうか。ベースメタル、レアメタルともアングロサクソン諸国や中国に買いまくられている実態を見るにつけても、今すぐにでも実行するべきだと思う。
日本が資源採掘権を買いだせば、諸外国も過度の円高はまずい、という心理的な効果もあるに違いない。一石二鳥です。

(民主党・衆議院議員中塚一宏氏のブログ)

民間企業の買い物を政府がどう誘導するかという問題は残るが、円高の根本原因や外国との関係を踏まえた提案だ。
少なくとも諸外国に協調してもらって円高を是正するという甘ったれた話ではないし、日本単独為替介入という無謀な手段でもない点で合理的な対策である。

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一部のインフラの存続に見切りをつける必要性

高度経済成長期に建設された橋、トンネル、道路そして水道などインフラが老朽化し、政府は今メンテナンスに取り掛かるべきと8/31の日経ビジネスオンライン連載「国債増発こそ日本を救う」で作家の三橋貴明氏が主張している。

全国の老朽化した橋を例にとり、すでに寿命の目安となる建造50年を迎えた大型の橋は全体の6%に上ること、また崩落寸前で通行禁止になっていたり大型車の通行制限が発生していることそして高度経済成長期に作られた橋が今後どんどん寿命を迎えることなど訴えている。放って置くと日本の都市同士が分断してしまうと。

また、需要不足で低金利の今こそいいタイミングと言っている。

確かにインフラ投資は政府の役目であるから、今すぐ危険な状態か確認して対策を取るべきであろう。

しかし日本の人口が減少していくのが確実となった今、過去から引き継いできた全てのインフラを保持し続けなければならない訳ではないだろう。

そもそも地方には利用の少ないインフラも少なくない。多くの地方空港は投資として失敗だったと言えるのではないか。

また傾向として街そのものが消滅に向かっているところも多数あるに違いない。
国民が散り散りになって暮らすより、ある程度纏まって大都市を形成している方がインフラ整備の他、様々な点で効率的である。
頼りになるはずの財政の悪化や労働力の減少が進んでいる。今までの生活水準を下げないためには、これといった産業のない市町村は無くし、住民は他所に移転するしかないのではないか。

地域で維持できないインフラは切り捨てもやむを得ないと思う。その結果、地域で暮らす人々が離散するのも仕方ない。大都市の進化に合わせて、過疎地の生活水準を上げるのは困難だから。

関連記事:「お金を使っても、消えない」のか
                  国債残高は危険水準

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レタスが1個1200円なら自給自足すべきか

レタスが1個1200円となってしまって、一般の市民はまともな野菜は食べられない状態
とアフリカへ主張中の参議院議員高橋千秋氏がアンゴラの首都ルアンダの状況をブログで伝えている。
(参議院議員高橋千秋のコツコツ日記 http://www.chiaki.gr.jp/blog.php?no=1611

そしてアンゴラは埋蔵している石油のため比較的裕福に国づくりが出来ると指摘した上で、
石油は金にはなるけど飲めないから、直接自分たちが食べられるものを作るというのは国の基本です。
とも述べている。

しかし食料を全国民分が必要とするに十分な量を国内生産しても、貧富に著しい格差があって貧困層の持つ現金が乏しければ、生産業者は海外に輸出してしまうのではないだろうか。政府が禁輸したところで農家は現金に換えられる分だけしか出荷しないはずだ。

全国民の空腹を満たすのに必要なのは、富の生産と全員への富の分配である。富は必ずしも農産物を意味しない。他人と交換できる価値のある物なら何でもいいのだ。

アンゴラは広大な国土や未だ少ない人口密度そして豊かな労働力など農業に適した条件を持っているかもしれない。だから食料が不足しているなら生産するという選択も十分検討に値するだろう。

他方、現在の日本の置かれた条件はアンゴラとはまったく逆とも言える。狭い国土に人口が密集している。1億人分の耕地を確保するのが極めて困難だ。今後日本で増えていくのは75歳以上の後期高齢者であり、総人口のうち労働者の割合は減少の一途を進む。

日本が取るべき道は貿易や海外投資を通じて外貨を稼ぎ、代わりに比較的付加価値の低い(つまり貿易障壁を除くと国内生産が成り立たない)商品を輸入するのが得策ではないだろうか。
例えば、穀物なら自給するよりも輸入と備蓄で凌ぐべきであると思う。

それはまた日本だけの利益に留まらず、世界中の農産物輸出が可能な国にも喜ばれる方法でもあるのだ。

関連記事:都市農業は無い方が都市空間を有効に使える
        所得補償してまでの農家の保護は不用
                  食料自給率向上より、お金持ちであることが重要
                  農業は廃れてくれた方が、国民の生活が楽になる

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自民党の円高対案

■効果が疑わしい自民党の対案
8/30に自民党が「当面の経済対策についての基本的考え方」なるものを発表した。
最近の円高に対応した自民党の主張であり、政府が出した追加経済対策への対案にあたる。

早急に実施すべき施策として3点挙げている。
為替対策。G8の開催を呼び掛け、国際協調して円高を是正する。
金融政策。デフレを防ぐために政府・日銀で思い切った金融緩和政策を取る。
経済政策。政権交代で執行停止になった公共事業の復活。農地集積。スクールニューディール。地域医療。

どの対策も実現性や日本全体に対する波及効果が疑わしい。
国際協調で円高を止めるというが、経常黒字の日本や中国こそ通貨高になるのは当然であり、諸外国は円安へ誘導を求められても拒否するはずだ。

デフレ状態を金融緩和で解決しようとするのは民主党と同じ愚策である。デフレの原因は新興国の工業が発展して安く商品を供給するようになり、日本国内の産業の価値が相対的に下がってきたからである。お金自体はすでに借入先が減って久しく、行き場に困っているくらいだ。さらに金融緩和をしてもせいぜい何かしら金融商品の投機に向かうくらいではないか。

公共事業(学校耐震化)や農地利用の改善。不要とまでは言わないが経済的恩恵を受けるのは建設業と農家だけである。どちらもGDP成長への貢献はしてこなかった業界と言える。公共事業は財政が逼迫しているので、関係業界の将来は真っ暗だ。労働集約産業である農業も外国農業に敵わない。どちらも所詮単なる自民党の支持基盤に過ぎない。

民主党政権も自民党も有権者に甘いことばかり公約して、円高や不景気は日銀のせいにし、日本のおかれた厳しい状況を直視せずにいる。
このままだとどちらが政権を担っても、どんどん日本は追い詰められていくばかりだろう。

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武器輸出の解禁

■有利な武器取引の為に武器輸出解禁すべき
27日首相の諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が報告書を提出した。従来からの防衛政策として堅持されてきた非核三原則と武器輸出三原則そして集団的自衛権をめぐる憲法解釈について見直しを求めた。

現在外為法を根拠に武器や関連する技術の輸出を制限している。世界平和のためというのが建前だか、日本一国が輸出制限をしたところでどんな効果があるだろうか。

むしろ、外国との武器の共同開発をも出来なくして日本を不利な立場に追い込んでいる面がある。
最近、話題になっている次期戦闘機についても候補になっている機種の共同開発に加わわれなかった。そのため仕様には日本の希望は酌まれないし、販売も後回しになるだろう。

幸運にも日本は第二次大戦の後、戦争に巻き込まれることは全く無かった。恐らく今後も積極的な軍事的介入はしないだろう。
実戦経験が積めないためどうしても武器技術の開発は、米国などに劣ってしまうはずだ。

そして高価な兵器の場合、共同で開発・生産すればコストが安く済む点が特に有難い。

日本の技術が流出した結果どこかで犠牲が生まれる心配もある。しかし武器の輸出は他国でも規制が存在するだろうし、また日本抜きでも武器は進化していくに違いない。

海外の需要を追って儲けることを主張しているのではない。今さらフランスやスウェーデンのように軍需産業を輸出産業にする必要はない。
ただ日本が必要な兵器をより安く手に入れることには技術を含めた取引が必要だと思う。

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