自民党の円高対案

■効果が疑わしい自民党の対案
8/30に自民党が「当面の経済対策についての基本的考え方」なるものを発表した。
最近の円高に対応した自民党の主張であり、政府が出した追加経済対策への対案にあたる。

早急に実施すべき施策として3点挙げている。
為替対策。G8の開催を呼び掛け、国際協調して円高を是正する。
金融政策。デフレを防ぐために政府・日銀で思い切った金融緩和政策を取る。
経済政策。政権交代で執行停止になった公共事業の復活。農地集積。スクールニューディール。地域医療。

どの対策も実現性や日本全体に対する波及効果が疑わしい。
国際協調で円高を止めるというが、経常黒字の日本や中国こそ通貨高になるのは当然であり、諸外国は円安へ誘導を求められても拒否するはずだ。

デフレ状態を金融緩和で解決しようとするのは民主党と同じ愚策である。デフレの原因は新興国の工業が発展して安く商品を供給するようになり、日本国内の産業の価値が相対的に下がってきたからである。お金自体はすでに借入先が減って久しく、行き場に困っているくらいだ。さらに金融緩和をしてもせいぜい何かしら金融商品の投機に向かうくらいではないか。

公共事業(学校耐震化)や農地利用の改善。不要とまでは言わないが経済的恩恵を受けるのは建設業と農家だけである。どちらもGDP成長への貢献はしてこなかった業界と言える。公共事業は財政が逼迫しているので、関係業界の将来は真っ暗だ。労働集約産業である農業も外国農業に敵わない。どちらも所詮単なる自民党の支持基盤に過ぎない。

民主党政権も自民党も有権者に甘いことばかり公約して、円高や不景気は日銀のせいにし、日本のおかれた厳しい状況を直視せずにいる。
このままだとどちらが政権を担っても、どんどん日本は追い詰められていくばかりだろう。

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自民党の円高対案 への3件のフィードバック

  1. タロキチ のコメント:

    (公共事業(学校耐震化)や農地利用の改善。不要とまでは言わないが経済的恩恵を受けるのは建設業と農家だけである。どちらもGDP成長への貢献はしてこなかった業界だ。公共事業は財政が逼迫しているので、関係業界の将来は真っ暗だ。労働集約産業である農業も外国農業に敵わない。どちらも所詮単なる自民党の支持基盤に過ぎない。)

    GDP成長への貢献はしてこなかった業界という根拠は何ですか?
    日本のゼネコンは確かに構造問題を抱えてはいますが建築技術は世界一ですよ。ユーロトンネル掘ったのは日本の
    シールドマシンですし世界各地に日本企業が建設した大規模な建築物がありそれらは日本のGDPに貢献していると思いますよ
    また公共事業については不景気のときは地価も安いですし借り入れ金利も安いですし建築会社は仕事がなく施工費が安くても請け負いますのでもし将来必要なインフラに対しての公共事業であればむしろ将来の節税につながります、さらに加えて公共事業は乗数効果が高いのでGDPに寄与する程度も高く、労働者も多く必要となるので失業率の低下にも繋がる
    ベストな解決策だと思います。
    また農業(食料)は安全保障問題に関係しますので効率だけ考えると緊急事態になったときに国民が餓死すると思います。
    豊臣秀吉の鳥取城の兵糧攻めでおきたことを考えれば自領内で食料の生産供給体制ができてないといくら金を持っていても餓死してしまいます。

  2. 佐藤健 のコメント:

    >タロキチ様

    多少乱暴な意見ですが、もし90年代建設業界がGDP成長への貢献をしていたなら公共事業で国債累積残高が増加した分に応じてGDPも拡大したままであったはずです。
    ところが景気対策と称し公共投資をしても暫くするとGDPは萎みました。国債の発行残高はGDP比で膨らむ一方です。

    食料を自給で賄おうとしても国内が天候不順で凶作になれば、国内の農家も当てになりません。結局頼りになるのは備蓄と輸入するための外貨です。

    現代において日本が「兵糧攻め」にあうとはどんな背景があってのことでしょうか?

  3. タロキチ のコメント:

    >多少乱暴な意見ですが、もし90年代建設業界がGDP成長への貢献をしていたなら公共事業で国債累積残高が増加した 
     分に応じてGDPも拡大したままであったはずです。
     ところが景気対策と称し公共投資をしても暫くするとGDPは萎みました。国債の発行残高はGDP比で膨らむ一方です。
      
    GDPとはフローであり、バブル崩壊でダメージを負ったのは資産(ストック)です。
    しかも商業不動産価格の90%が下落しました。これだけバランスシートがダメージを負ってしまうと通常債務超過
    になってしまいますが本業のフローが問題なければ時間が解決してくれます、それまではストックの修理に企業は
    励み一刻も早く修理するために今まで設備投資に使っていた金が回らないことを意味します。(借金返済を急ぐため)
    すなわち借金返済分需要が減る(GDPが減る)はずですが日本はこれをずっと維持してきました。
    この維持できたことがまさに驚くべきことです。
    また政府が莫大な赤字国債を発行し民間企業を支援した結果バブルの後遺症はほぼ解消しています。
    つまりGDPに現れてきませんが資産側では着実に効果が上がっています。

    >食料を自給で賄おうとしても国内が天候不順で凶作になれば、国内の農家も当てになりません。結局頼りになるのは備蓄
      と輸入するための外貨です。
      現代において日本が「兵糧攻め」にあうとはどんな背景があってのことでしょうか?

    兵糧攻めは極端なシチュエーションの例です。(笑)確かにいわれてみると現実にはおきそうにないのかもしれませんね。

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