口蹄疫に便乗した宮崎県の公共事業予算の獲得

口蹄疫からの復興を名目に、宮崎県は国に対し補助金を求めていた。
その額300億円。
その内訳は畜産業のために100億、そして公共事業に200億が加わる。

宮崎県は、口蹄疫の被害に乗じて県内の道路整備を国の歳出で行おうという魂胆だったらしい。

結局国は200億円の公共事業分は全く認めなかったが、宮崎県が県債で1000億円の借金をし、その利息の一部を負担するようだ。

国は、口蹄疫に際し家畜の殺処分、埋却、感染拡大防止のための消毒そして予防的殺処分の家畜には時価評価額でも補償をしてきた。
国(国民)はこれ以上何を負担する義理があるのか。

宮崎県内が、口蹄疫の感染拡大防止のために移動を制限され不況が深刻になったのは確かだろう。
しかし、深刻な不況というのは宮崎県に限らず全国に存在する。宮崎県同様必ずしも住民に責任がある訳で無い。ついでにいうと口蹄疫による不況対策でなぜ「道路整備」が上がるのかも変だ。

宮崎県に限らないが、畜産業を含む第一次産業は国の厚い支援を長年受けている。
口蹄疫に至って宮崎県は公共事業にまで追加的な補助を求めてきた。どうやら政治家というのは、第一次産業が絡むとどんな言い訳を使ってでも国の補助を引っ張ってくる気持ちが湧いて来るようだ。

国民にとって口蹄疫だけが特別悲惨な出来事ではない。また日本の畜産業地域がとりわけ大事な食料供給元でもない。
にもかかわらず特別扱いされなければ維持できない地域社会なら、壊滅を受け入れ住民は散り散りになれば良いのではないだろうか。

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大型店出店は悪いのか

「さらなる大型店の展開によって地域社会の秩序に支障が生じる」
「規制を強化することが必要だ」
「ひともうけしてやろうという乱暴な波に(商店街が)のみ込まれる感じがある。このまま放置すると地域社会が崩壊してしまう」
(時事通信)
大畠章宏経済産業相が中小企業関連団体との懇談でマスコミや団体に対しそう発言したという。

お店が衰退するのは、他でもなく消費者にとって魅力的では無いからである。
新しい店舗の進出を制限したところで既存の店の内容が改善する訳もなく、消費者の財布の紐は固くなる一方だろう。

買い物客の気持ちを無視する規制に甘んじる商店が多いなら地域ごと廃れるのは当然である。
それを放っておくと長期的には、常に新しい店が次々に生まれてくる巨大都市が商業的な魅力を放ち、消費や人口そのものを吸い上げていくことになる。

地域社会の商業を活発に保っていたいなら、お客さんの全く来ない店や廃業した店舗を持ち主はすぐに新たな開業希望者に明け渡すべきである。
シャッター街と呼ばれるようになったら手遅れだ。

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ノーベル化学賞受賞根岸英一氏 「特許取得せず」は美談か

今年のノーベル化学賞を受賞する事になったアメリカ・パデュー大学の根岸英一特別教授は受賞対象の研究成果の確立に際し、特許を申請しなかったという。
出来るだけたくさんの人に研究成果の利用を望むこと、そして研究者は成果をいち早く発表し確立するのが重要であることに対し特許の申請手続きは長期に渡る負担で「ネガティブ」なものであることを理由に上げている。

その研究者としての心意気は素晴らしい。
しかし、特許を取って利益を得る可能性があるならその権利を確保した上で今後の研究に備えることも出来るのではないだろうか。

まだ研究の途中では他人の理解が得るのが難しく、研究費の手当も苦労があると思う。おそらく革新的な発見発明ほどそんなものではないか。
研究者たちの懐具合が良くなれば外部からの研究費用の確保が不調でも、差し当たりある程度好きに研究を継続できる。

企業が莫大な特許使用料を払えるのは、その発明は社会にとって利用価値が高いことに他ならない。一旦市場で価格が形成されてから研究者は使用料を再検討しても遅く無いだろう。

もちろん、お金が使いきれないなら手放して誰かに託せばいいのだから後に何の心配があろうか。

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UR(都市再生機構)の債務14兆円

民業圧迫とならないよう収益性の高い新規賃貸住宅の供給をしてこなかった
多額の家賃収入(年間約5,600億円)があるにも関わらず、民間と比べて利益が圧倒的に少ない印象がある。民間と比べてどこにお金をつかっているのか、きちんと把握する必要がある(石渡進介委員)」
国土交通省「独立行政法人都市再生機構のあり方に関する検討会報告書」のからの抜粋である。

URの管理物件が究極的に国の財産である以上、最大限に有効利用するのが国への義務である。わざと低い収益性にしておくのは、もったいない。利便性のある限られた土地ならなおさらだ。民間の不動産業が不利な競争を強いられていると感じるなら、URも株式会社化して税を課すべきだろう。

たくさんの関連会社設立、そしてその間との随意契約の存在は財務体質の改善よりもUR職員の雇用を維持し待遇を良くすることを優先して運営してきたと疑われる。
民営化し財務状況の悪化が倒産に結びつけば職員たちのお手盛り待遇も多少改善する。

全国には空き家が約750万戸も生じている。住宅公団が設立された頃の住宅の量的不足は完全に解消した。
この際近隣の相場に比べて安く入居を続けてきたURの賃貸住宅の低所得者から、既得権を取り上げた方が公平である。既得権と無縁な低所得者もたくさんいるのだから。
高い家賃を負担しない者は本来の経済原則どおり民間に余っている安くて劣悪な賃貸物件に住めばいい。

早急にURを民営化して国の損失に歯止めをかけるべきである。ツケは増税か財政破綻によって国民が払うのだ。

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赤字地方空路存廃と医療

大手航空会社は従来、羽田便で上げた収益で赤字路線を維持してきた。しかし、日航は赤字路線を抱える余裕はなくなり、破綻のツケが地方に及んできている(毎日新聞)

毎日新聞の記事の理屈が分からない。地方はツケを払ったりはしていない。払ったのは過去の黒字路線を利用してきた乗客、日本航空の破綻に際して債権放棄をさせられた金融機関そして政府(≒国民)である。地方は元々採算の合わない空港と定期便を享受してきた。地方こそツケを他人に払わせてきた方の一員なのだ。

毎日新聞の記事は、北海道奥尻島から航空路線で函館の病院に通う島民や島外から時々専門医を招く島の病院の困惑を伝えている。Webの記事には車椅子の乗客の写真を載せている。
しかし全国の過疎地の中で空港を利用して函館規模の都市の病院に掛かれるところの方が少数派ではないだろうか。本州でも電車の通っていない山間地なら病弱の高齢者が都市に出るのは一日がかりだ。

医療を根拠に赤字空路存続の必要性を訴える地域住民は、空港の建設さえ不可能な全国のほとんどの過疎地を差し置く正当な理由を持っているのか。

医療に限らず、サービス業の多くが人口の過密地帯で成長していく。同様にサービスを受けたいなら、都市生活者と同じく都会に出てきて高い家賃を負担する生活を送るべきではないだろうか。

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横浜ベイスターズの身売り

横浜ベイスターズが「身売り」をするらしい。
主要株主のTBSが株を売却し、相手先はトステム・INAXを傘下にもつ「住生活グループ」と目されている。また家電量販店のノジマも名乗りを上げると報道にある。
また、新潟がここ数年プロ野球球団の誘致に関心を持っているそうだ。

身売りの原因はもちろん球団の成績が振るわず、集客力が悪いのが一番の理由だろう。
さらに、本拠地の横浜スタジアムの取り分が多すぎると言う批判もある。

横浜スタジアムは、球場の広告収入と物販の利益全てと入場料収入の25%を取ると言う。去年の入場料収入の25%は6億5千万円だったという。

横浜市が老朽化した球場の新設や、球場使用料を下げることをしないということはもはやプロ野球商売に興味の無いということを端的に示している。
年間数億円の収入のために横浜市が何百億の工事をする訳無いし、球団が出て行くことによって横浜の地域全体の経済がどれほど落ち込むかもはっきりしない。

もう球団は何のお構いも無く新潟でもどこでも利益の出るところへ行けばいいのではないだろうか。

※自治体として新潟が球団を誘致をしていることはないようです。(2010/10/12)

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自民党は批判できない 在日外国人の海外在住の子への子ども手当

既に自民党政権時代から在日外国人に海外在住の子どもの分まで児童手当は支払われていた

支給対象とされた外国人の子供は国内、海外分を合わせると24万9902人。ほとんどは21年度までの児童手当を受給しており、今回、子ども手当を受給した海外に住む子供1万656人のうち、制度新設で新たに受給手続きを取ったのは1195人だけだった(産経新聞)

自民党は民主党が導入する子ども手当について、外国人の海外在住の子の分まで払うことを批判してきた。
ところが厚生労働省の調査によると自民党が非難するようなケースは自民党政権下の児童手当で既に存在し、その数9千人以上。子ども手当への制度移行で新たに申請したのは1195人だけ。

実は自民党政権も月5千円から1万円の手当を外国人の海外在住の子に支払ってきたのだ。
自民党のした批判は、取りも直さず過去の自民党政権へ批判をしていることになるのである。

子ども手当は来年度から子どもの日本国内在住が要件となる。
結局子ども手当の導入騒ぎが、自民党政権時代から続いてきた児童手当制度の不備を修正したことになる。

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環境税は目的税でなければならないのか

税収の使途を環境保護対策に使うと決めておかなければ環境税導入は出来ないのか

ついに民主党が地球温暖化対策税(環境税)の議論を始めた。
環境税をめぐっては、環境省と経産省がエネルギー対策特別会計にその税収を入れることを主張しているようだ。つまり環境税の「上がり」は省エネ促進などに使途を限定しようとしている。

しかし、そもそも化石燃料に課税して価格が上がること自体にCO2抑制効果があるはずだ。効果が乏しければさらに税率を上げればよい。

環境税導入の最大の問題点は税収を省エネ促進や環境保護などどのような事業に政府が使うべきかということではなく、導入しても産業が国外に移転しないようにするにはどうすべきかということである。

もし環境税を導入しても、税負担を逃れる為海外に生産設備を移転してしまったら地球規模では何らCO2削減効果は無く、わが国から雇用と税収を失うだけである。日本を脱出した企業は規制の緩い移転先で、前にも増してたくさんのCO2を排出することも十分ありうる。

環境税導入による雇用・税収の喪失を避けかつ地球全体でのCO2抑制効果を保つためには、負担に応じた法人税減税が最優先されるべきなのだ。

環境税導入と同時あるいは導入前に法人に対する課税を下げることが第一であり、省エネ対策や環境保護対策に必要な費用は後から計上しても構わないだろう。
環境税による税収をどうしても特定財源にしなければならない理由は無いのだ。

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私立歯科大の定員割れ

■私立歯科大6割超が定員割れ
2010年の全国の私立大学歯学部の総入学定員1891人に対して入学者が1489人(日本私立歯科大学協会入試結果報告)
約400人分もの歯学生の教育施設が余りだした。

しかし一方で医師不足が叫ばれ、国が定員増を図った既存の大学医学部では360人ほどの増加にしかならず、学生受け入れに限界があるようだ。

ならば学生受け入れに数百人の余裕が出てきた私立歯科大学が歯科にこだわらない医学教育に転換すべきではなかろうか。
歯科医師養成に特化した教育機関とはいえ、歯科専門の授業は全授業の一部であろう。ゼロから大学医学部を新設するより、安く早く受け入れ態勢が整うのではないだろうか。
また余剰感のある現役の歯科医師のうち、別の科の医師への進路変更を希望する人に追加的トレーニングを用意するのも、過去の学習内容を把握している歯科大学に期待できる。

歯科医師の絶対数の増加と人口減少の相乗効果により、今後歯科医師の過剰感がさらに増すのは必須だ。大学歯学部の定員見直しは不可避であり、さもなくば「廃校」が待っている。

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厚生労働省医師不足実態調査

確保すべき医師数は現状の1.14倍の19万1096人、全国で約2万4000人の医師が不足

厚生労働省が全国の病院と分娩取り扱い診療所を対象にした調査の結果の値である。ただし調査に回答した施設の割合が84.8%なので、実際にはさらに数千人不足しているかもしれない。

毎年7千数百人が医師国家試験に合格(そしてそれとは別に歯科医師が2千人以上歯科医師国家試験に合格)している。この合格者輩出数水準を維持ならば、毎年引退するであろう5千数百人の医師を差し引いても約十年で不足数を満たすことが出来る計算が成り立つ。
そして今世紀半ばには医学部の定員が現状のままでも10万人あたり300人以上まで医師が増えることになる。数だけを見れば一部の先進国と同様に医者余り時代がやってくるはずだ。

それでもなお医者の労働力不足要因として上げられるのが今後の高齢者人口の増加、および医学生に占める女子の増加である。近年は医学部生の3人のうち1人以上にまで女子の割合が高まっている。

人材も有限であり財政も逼迫しているのだから新たに多額の医師養成費用や将来の医師の余剰リスクを抱えるのでなく、医師以外の医療職の業務範囲拡大をすることと既に過剰視されている歯科医師の他の診療科への移動を奨励することが望ましいのではないだろうか。

そして何より国民の受診抑制もタブー視せず目標を持つべきだ。
死亡しかねない重傷事故そのものを減らす努力が受診抑制に大きな効果を発揮する。これこそ医師にかかるより遥かに楽な健康を守る方法である。

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