痛税感が足りなさ過ぎる環境税

■標準的な家庭で電気代が月額34円、ガス代が10円増し

1997年日本は京都議定書でCO2の排出削減を約束したものの、むしろ全体ではCO2排出を増加させている。増加主体は家庭、店舗、オフィスなどである。
京都議定書の期限が切れる2012年まで一年を残すだけとなった来年10月から環境税導入とは余りも遅すぎやしないか。そして課税額も少なすぎる。

8日の政府税制調査会で用意された経済産業省の資料『「地球温暖化対策のための税」についての考え方』(http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/22zen18kai8.pdf)に課税強化によるエネルギー価格への影響(試算)が載せられている。

●電気(世帯当たり)34円/月
●都市ガス(世帯当たり)10円/月
●ガソリン・軽油・灯油(リッター当たり)0.79円

家庭に対し省エネの動機を強めるとはとても思えない僅かな課税である。それでも経済産業省の資料によると「国民生活や経済活動への激変を緩和する観点から、課税強化の段階的な実施を検討する。」という。つまり当面の課税額は更に微々たる額となるようだ。

ガソリンを例にとると、ここ数年のレギュラーガソリンの価格変動はリッター110円から180円と言ったところだ。消費者は0.79円の上乗せなどすぐに分からなくなってしまうに違いない。
また何らかの必要があってクルマを利用している人は、より低燃費のクルマに買い替えるまでは、ガソリンの消費量を減らさないはずだ。現在所有しているクルマを買い替えるのが勿体無いと感じている間は、省エネは期待出来ない。

課税によってエネルギーの消費を抑制するのは、大幅な課税額と省エネの生活様式に移行するまでの長い期間が必要である。
タバコに対する増税のように手荒くやってこそ抑制効果を得ることが出来るのではないだろうか。

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痛税感が足りなさ過ぎる環境税 への2件のフィードバック

  1. 赤塚裕彦 のコメント:

    私も、わずかな税額では意味がないと思います。ただ、痛税感がありすぎても問題だと思います。私は、地方税を全廃して地方税と同額の環境税を導入すれば、経済的負担を抑えつつ環境問題に対する抑制効果を期待できると考えています。副次効果として、地方税100円徴収するために2円かかると言われる徴税費用が削減でき、税務関係に従事する地方公務員7万人を他の分野(児童虐待、介護、福祉等)に移動でき、国債、地方債が削減できます。詳細は「どうせ払うなら住民税より環境税」赤塚裕彦著(幻冬舎ルネッサンス)をご参照下さい。

  2. 佐藤健 のコメント:

    >赤塚裕彦様

    はじめまして、赤塚さんの案だと40.7兆円の地方税を環境税にするのですね。
    それは、化石資源を使うのを止めようとする強い動機になりますね。
    また地方公務員も徴税業務はイヤでイヤで仕方ないでしょうから、事実上関税とほぼ同じである環境税を国が地方に分配してくれるならそうしてほしいと思っているはずです。

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