武器輸出三原則緩和で日本は「死の商人」?

■一番の狙いは高騰する開発費の分担

「武器輸出三原則」を掲げてきた日本政府は武器そのものだけでなく、武器製造技術や軍事目的に転用の恐れのあるものまでを輸出禁止扱いとしている。
その方針は武器の国際的な共同開発の妨げとなっていた。
一方で世界の趨勢として兵器開発の費用は高騰し一国では手に負えなくなり、唯一の軍事大国であるアメリカでさえ次世代戦闘機の開発の出資を他国から受けるようになっている。

アメリカより桁違いに武器の調達数の少ない日本なら、なおさら国際共同開発によって武器開発費用の低減を実感できるはずだ。
そもそも似たような価値観を持っていて、戦争に発展するほどの間柄ではない各国がバラバラに武器の研究開発を進めるのは無駄である。共同開発参加国が協力し合って財政支出をより有効に使うに越したことは無い。

■共同開発の対象となる武器は高すぎて拡散しにくい

国会の運営上社民党の言い分を聞かざるを得なかった菅政権は武器輸出三原則の緩和に踏み切れないようだ。
社民党の福島瑞穂党首は「日本製の武器が世界中の子どもたちを殺すことを望むのか。日本が『死の商人』になるのは、平和国家にそぐわない」(12/8読売新聞)と発言している。

しかし武器輸出三原則の緩和で実現する共同開発の武器はもともと高価で途上国の紛争や内戦には調達される可能性は少ない。
日本製品が戦争で頻繁に使われるのがイヤならば現在の紛争地域に使用されそうな武器の輸出を禁止してもいいだろう。
もっとも日本一国が武器輸出に背を向けたところで他の国が条件次第でいくらでも武器を供給するから、犠牲者を減らす効果は不明である。

■法の支配が進んでいる国に対してなら積極的に供給した方がいい

日本は船舶の建造が盛んであるから、当然軍艦を開発・供給する素地があるということになる。おそらく武器輸出解禁となったら警察や軍隊向けの艦船が有力な商品に成長するのではないだろうか。
艦船のほかにも、従来から存在するいろいろな武器が日本から輸出できるかもしれない。
現金で販売するほか、何かの見返りに供与するのもいい。
どちらにせよ相手国の期待に十分応える装備なら、供与に対し感謝されその政府との友好関係も深まるに違いない。
法の支配が浸透し、日本と対立していない国への武器輸出はそれほど躊躇しなくてもよいのだ。

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