自然災害に対する不適切な復旧支援策

27日霧島連山の新燃岳の噴火災害について、地元宮崎県の知事や経済界が海江田万里経済産業相へ支援を求めた。河野知事からは企業の資金繰りや火山灰を取り除くことへ国の支援を要請し、地元の経済界は借金の利払いの免除を要望したという。
要するに県も企業も国からカネが欲しいと言っているだけなのだが、以前の状態への復旧や商売の不振を全て国(≒他の地域の納税者)の責任にされたら堪らない。

そもそもカネを投じる価値があるなら県が借金して調達しても、いずれ税収増という見返りがあったり地元の有権者から許容されるはずではないだろうか。
また河野知事は商店街を訪れる人や観光客が減ったことに触れたようだが、商店街や観光地の売り上げ減少は、火山噴火のせいに全てしていいのか疑問だ。

そして経済界の要望した利払いの免除も、噴火以前の事業の不振を不問にしてしまうかも知れない雑な手法である。
元々不振な事業なら、事業そのものを整理すべきである。その利払いの免除は関係者の責任を多少逃れるようにするだけであり、公金の使途として極めて不適切だ。

おそらく火山周辺には多量の火山灰が降り積もっており、その全てを退けるのは膨大な費用が掛かることだろう。
しかし自然災害に対し、以前と全く同じ状態に戻す義務を国や地方自治体は負わなければならないのか。それは違うだろう。

例えば農地が厚い火山灰に覆われた場合、すぐに作物が育つ状態に戻す費用とその後の見返りである生産額をまず比べる必要がある。
もし出荷の無い「自給的」農業だったり従業者が高齢かつ跡継ぎもいないのが実態なら、復旧は無駄な投資で終わってしまう可能性が高い。

見限る検討の必要があるのは生産設備に留まらない。被災地が過疎ならば災害を機に住居の移転を奨励することも選択肢に入れるべきだ。
もう国や自治体には災害復旧どころか、過疎地の生活を支援する力も無くなりつつあるのだから。

他人のカネに頼るなら、本来その効果を問われてしかるべきである。
心配なのは、現在の民主党政権が支持率回復や目先の選挙のため「バラマキ」の誘惑に負けることだ。

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