私立高校入学を押し付ける公私間協議という会議

『皆さん、公私間協議という理不尽な会議がある事を知っていますか?』
東京都知事選に立候補を表明したワタミグループ創業者渡邉美樹氏のブログの一文である。

教育委員会とその管轄地域の私学の団体が、公立高校の定員枠と私立の定員枠をこの協議の場で決めている。神奈川県教育委員会の委員を務めていた渡邉氏によると、その比率は公私が6対4の割合であったという。
渡邉氏は、公立の定員数を増やすことを提案したものの受け入れらなかったことを理由に一昨年委員を辞任した。

渡邉氏はこの制度の根本に私学の生徒数を確保するという思惑があり、不景気で私学に進学できない生徒が被害を受けていると主張している。
渡邉氏は教育委員に就いていた当時、定員数を増やす目途を本来昼間学びたかったであろう夜間の定時制に在籍している生徒数をもとに2000人以上と提案した。
「本来昼間学びたかった」というホンネに根ざした良い目安だとは思う。
ただ住民本位で考えれば、何も既存の私学が存続することを当然のこととは決して願っている訳ではないので私学の定員枠を確保して置くこと自体不要である。

勿論私学が生徒集めに苦労するのは、学校運営費のせいもあろう。
しかし本質的には、かなりの数の私学が学校の魅力が不足しているせいで勉強の出来る生徒を集めるのに失敗しているのではないだろうか。
もしその私学独特の校風や制度が受験者から全く認められないなら、「店じまい」すべきだ。

また建学の精神などに拘らず学校事業をしたいだけなら、公立高校の下請けのような立場を目指してもいいだろう。
地方自治体自信が高校を経営するより低コストで学校を切り盛りして公金の補助を受けるという具合で、言ってみれば「民営化」である。従来の公立校と同等の教育程度なら納税者も大歓迎するに違いない。

橋下知事の率いる大阪府は定員枠による公私の住み分けを変えつつあり、今年から公立高校と私立高校が獲得生徒数を争うような模様だ。
渡邉氏も東京都知事に当選した暁には、是非私学関係者の救済のような制度を廃止してもらいたい。

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