少子化もデフレが原因なのか

「GDP低迷を少子化のせいにするのは、いい加減に止めて欲しいです。日本のGDPが低迷しているのは、主にデフレと緊縮財政のせいです。といいますか、そもそも少子化自体がデフレの仇花です。原因と結果が逆になっているわけですね。」(作家・三橋貴明氏のブログ「新世紀のビッグブラザーへ」)
出生率の低下は何も90年代から始まった訳ではない。すでに70年代半ばから低下傾向である。
少子化の原因として子育てや教育の費用そして晩婚化が上げられる。どちらも若者世代の収入との関係は否定できないが、現在より出生率の高かった40年前、子育て世代の収入や住環境が良好だった訳でもない。むしろ現在の子供の境遇の方が贅沢だ。

もう日本の勤労者の大部分は家業を持たず、どこかの組織の従業員である。ほとんどの家庭で子供は跡継ぎとして不要になってきた。
また老後に子供が世話をするということも当てにしなくなった。それは当人の心構えだけでなく、社会が老後の世話をするような制度になってきている。
日本の少子化傾向は勤労世帯の収入以上に、子供を持つことの必要性や価値観に影響を受けているのではないだろうか。

もちろん若い世帯の収入の改善自体は、日本全体で子供を増やす要因となるだろう。子育てや教育にかかる費用も少なく出来るならそれに越したことはない。
しかし世帯収入増加だけで出生率が人口維持に必要な程度に回復するは疑問だ。2009年の日本の特殊合計出生率は1.37、対し長期的に人口が維持される合計特殊出生率(人口置換水準)は2.1である。

デフレが子育て世帯を苦しめているのは、事実であろう。
ただし、少子化は社会が成熟してきたどこの国でも直面している。デフレの克服とは別に、少子化対策を打たなければならない。それは結婚から子供の教育に至るまで、より良い環境にすることだけを意味しない。より少ない労働人口でも成り立つ社会を探るべきではないか。

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