年間自殺数3万人は橋本政権に責任があるのか

『地方の経営者団体を講演で回っていますと、「自分の友人の経営者が、緊縮財政後に自殺した」という心が痛むお話を聞くことが多いです。多くのケースで、自ら命を絶たれた方が抱えていた負債は「数百万程度」なのです。経営者が「わずか国民所得程度」の負債のために自殺してしまう国は、やはり歪んでいるとしかいいようがありません。』
作家・三橋貴明氏は自殺の増加を橋本政権の消費税引き上げ、公共投資削減などの「緊縮財政政策」に原因があるとしている。
三橋氏の提示する資料によると、自殺数は失業率や平均給与とも一致しない。消費税を引き上げた翌年から自殺数が三万人台に跳ね上がり、今日までほぼ同水準を保っている。
(ブログ『新世紀のビッグブラザーへ』http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10768807417.html#main
数字を見る限り、橋本政権から自殺数が高水準で一定しているから三橋氏の言うとおりの結果だ。
しかし消費税を引き上げたとは言え政府の歳入総額はそれほど増えていない。また最近の財政は空前の国債発行を伴う極めて積極的なものだか、自殺数は橋本政権前の水準には程遠い。自殺増加を消費税や緊縮財政のせいにするのは、あまりに表面的な分析ではないか。

■事業経営の行き詰まりを税金で救うべきでない

自殺を減らすことは間違いなく政府に期待される役割である。そして政治は社会の全ての結果に責任を負わなければならないとも言える。しかし企業経営者にも景気の先行きの予想に責任を持たせるべきだし、景気に関わらず衰退している産業なら延命するのは資源の無駄遣いである。
何と言っても私利私欲から出た行為の失敗を国民の税金で救うのは不公平だ。国(赤の他人)のカネを頼りにしてでも自分の債務者に迷惑を掛けないようにしたいというは人情として理解できるが、所詮その人の勝手でしかない。

■自殺増加の原因は社会の急激な変化

従来の産業を守るために国が借金をしてでも歳出を続ければ、当面は人心の不安も和らぎ自殺も減るだろう。
しかし世界の流れに抵抗して、既存の企業を温存しては世界の進歩から取り残されてしまうはずだ。日本の人口はとても鎖国で養えるような人数ではないから、世界情勢の変化に対応しなければならない。放っておくと長期的には失業を増やすことになる。
増税を拒み、国債を延々と発行し借り換えを続ける訳にもいかない。財政収支の均衡から逃げ回っているなら、いずれ橋本政権時とは比較にならない社会的混乱がやってくる。その時に自殺が増えるのもやはり困るのだ。

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