野田佳彦民主党代表に期待すること

29日に行われた民主党代表選で野田佳彦氏が選出された。野田氏の選挙区は千葉県船橋市である。菅直人首相に続き東京都心へ至近な都市を地盤とする政治家が首相の座に着くことになる。

もちろん東日本大震災からの復興も喫緊の課題として進める必要はある。しかし野田政権にもう一つ即座に取り掛かってもらいたい問題がある。「一票の格差の是正」だ。何しろ野田氏の出身である衆議院小選挙区千葉県第4区こそ日本で最も票の価値が貶められているのだから、彼も心底是正すべきと思っているはずである。彼に一票の格差是正の前進を期待したい。

■衆議院は大都市圏に小選挙区を増やす
2010年現在、衆議院の一票の格差が2倍を超える選挙区は55に上るという。衆議院の任期が最長でも2年余りとなった今、該当する選挙区を2分割してしまうのが最も手っ取り早い格差の解決策だ。

すると当然55議席分増加してしまうが、一旦増やして国会が公平な議席配分を実現した方が議員削減より国民の意思を反映するマシな選択ではないだろうか。もし出来るなら、同時に比例代表枠を削ると良いかもしれない。

■参議院は都府県を合区する
参議院の一票の格差の現状は更に酷い状態で放置されている。鳥取選挙区と神奈川選挙区では格差が5倍である。改選1の(鳥取)選挙区から議席を奪うことは、参議院の改選を定めた憲法の条文上出来ない。かといって神奈川選挙区を現在の5倍の議席にするといった調子で各選挙区の定数を是正してしまえば、全国の選挙区選出参議院議員の数が400、500と膨れ上がってしまう。

もはや参議院選挙は都道府県単位の選挙区で議員数の抑制と公平を両立させるのが極めて難しい。隣接する都府県選挙区同士を合区して議員定数を調整していくしかないのではないか。

参議院選挙では広大な北海道でさえ一つの区として扱われている(そして北海道は不当に一票の価値も低い)。ならばその半分、四分の一の面積しかない九州、四国もひとつの区として合区しても許されそうなものだ。

一票の価値が不当に高い選挙区の選出議員は、ホンネでは是正などされたくないに違いない。また一票の格差を放置したままで長期間政権を掌握してきた自民党も是正に乗り気ではないであろう。

しかし選挙権の不平等を解消することに露骨に反対する訳にも行くまい。また政権党でもある民主党は大都市での得票が多い為、一票の格差是正による利益を受けることが期待出来る。

本来は政権交代直後すぐ一票の格差是正に取りかかっていればもっと実現性が高かったのだが、まだまだ望みは断ち切られていないのではないだろうか。

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野田佳彦民主党代表に期待すること への4件のフィードバック

  1. へな のコメント:

    60万人もいない鳥取県をお取りつぶしにして、県人口70万人を切ったら強制的に県をお取り潰しにすればいい。(直近の政令指定都市、静岡市、岡山市、相模原市が約70万人)
    お取りつぶしになった県は全県1市として近隣の県に哀れみを請うて合併してもらえば解決。

  2. 佐藤健 のコメント:

    >へな様

    はじめまして、コメント有難うございます。

    地方自治体は生活圏の維持に関わる費用を原則域内でしっかり集めて欲しいものです。それが出来ないなら完全な自治とは言えません。自治不能なら「お取りつぶし」もありだと思います。

  3. oldpar のコメント:

    生活圏の維持に関わる費用とは租税のことでしょうか?それをいうなら大都市は大都市であること自体で多くのサービスを受けています。
    東京を例に取ると、国内最大級の大病院がいくつもあります。図書館、劇場や競技場、体育館、運動場、美術館、博物館、大学等々・・・全て複数あり、このうちのいくつかは税金で建てられており税金で維持されております。

    さて、鳥取県に住むみなさんにはこう言ったサービスを受ける権利がないのでしょうか?東京が東京であるのは東京都民の努力では全くありません。多くの企業が集まっているからこそ多くの税金を吸い上げる事ができるのです。行政サービスを、自治体予算を人口で割って一人当たりの行政サービスを受けた量とするような試みがマスコミを中心に流布していますが行政サービスはそのような手法では到底表せません。

    日本国民である以上、何処にいても最新の医療を受ける権利があるはずだし、東京都民が受ける行政サービスに匹敵するサービスを受ける権利があります。わたしの県でも住民の2割は難しい処置が必要な患者は1時間以上かけて県庁所在地まで救急搬送されるような地域に住んでおります。田舎にはICUもなければ、脳外科もいません。多分、わたしの県も自前の税金だけではこれらの病院を維持できないと思います。そうなったら、となりの県までさらに1時間かけていかなければならないのでしょうか?

    何度も言いますが「東京が東京であるのは東京都民の努力ではまったくありません。」

    申し訳ありません。国会の議員定数に対するコメントではありませんでした。
    ただ、大都市に住んでいるからといって地方を馬鹿にしたような言い草や、地方をお荷物のように言う言い方に怒りをおぼえました。田舎がなければ食料はもちろん、電気も供給されません。持ちつ持たれつのはずです。
    今回の大震災で福島県民のはらった犠牲はきわめて大きなものでした。東京都民は福島県に足を向けて寝れないはずです。本来なら東京に電力を供給しているのだから、東京に作られるべき原発でした。それがなぜか東京都民も被害者づらをしています。無自覚で破廉恥なマスコミが東電と国がすべて悪いと誘導したからですが、そのような議論がなされたのを聞いたことがありません。

     

  4. 佐藤健 のコメント:

    >oldpar様

    こんばんは、長文のコメント有難うございます。
    記事・コメントの主張に関係なく、文章から感じたことを書いていただければそれで嬉しいです。

    ここで言う費用に充てるべきとは主に租税のことです。社会保険料や水道料金なども含めます。巨大な河川でも川岸の自治体だけで対処せよとまでは言いませんが、道路、水道、健康保険制度、公民館の運営そして公務員の賃金は自治体で解決すべきと考えます。

    確かに東京集中や大企業から徴収する税の現状は不公平があります。しかしそれを解決しても、私の結論(財政的な自治を求めること)には変わりありません。それは人口・人口密度の少ない所には厳しいものです。

    なお医療の場合何処にいても「最新」を享受することは実現不可能と思います。どれ位の水準までを最新の医療とするかにもよりますが、人口の少ない地域では似たような症状の患者数が当然少なく、専門医が経験を積むどころか技量の維持すら覚束ないのではないでしょうか。逆に人口・人口密度の高いところとは、住民個人の努力を問わず最新の医療を維持する素地があります。

    住まいから遠くないところで最新の医療を受けたいのなら、相応の人口規模を擁する都市に引っ越すしかないと思います。

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