いったい、この日本のどこが「輸出入に頼らなければ、経済が成り立たない国」なのだろうか。全く理解できない。
作家・三橋貴明氏の日経ビジネスオンラインの連載「国債増発こそ日本を救う」9/7号の中の一文だ。
三橋氏は輸出依存度(製品の輸出額÷名目GDP)という数値で日本は主要国中最低水準という事実から、上述の結論を導いている。
しかし日本は食料の大半、石油石炭天然ガスのほぼ全量を輸入に頼っている。それらを国内で自給できる見込みは全く無い。輸入できるのは同額以上の収入(輸出)があってこそである。
それとも三橋氏は、過去に積み上げてきた日本の海外純資産の運用だけで食料や化石燃料の輸入総額の相当する額(現在は二十数兆円程度)を延々と稼ぎ出すことが出来るとでも考えているのだろうか。
また記事の中で将来の世界のインフレに備えるためには、生産能力や供給能力を削減するのは望ましくないとも主張している。
しかし現在持て余している生産設備から出来る商品(そしてその価格)が将来に渡っても市場に通用するとは限らない。仮に生産設備自体に問題が無くても他の人件費の安い国には太刀打ち出来なくなっている可能性もある。
第一、政府が旗を振らなくても個々の企業が将来の需要を分析するだろう。そしてそのために最適な投資を選択する。
国民や政府がすべきことは、何らかの役割を担うことが出来る人材(賃金水準)を供給することや企業活動しやすい場所の提供である。
決して既存企業の温存でないはずだ。