確保すべき医師数は現状の1.14倍の19万1096人、全国で約2万4000人の医師が不足
厚生労働省が全国の病院と分娩取り扱い診療所を対象にした調査の結果の値である。ただし調査に回答した施設の割合が84.8%なので、実際にはさらに数千人不足しているかもしれない。
毎年7千数百人が医師国家試験に合格(そしてそれとは別に歯科医師が2千人以上歯科医師国家試験に合格)している。この合格者輩出数水準を維持ならば、毎年引退するであろう5千数百人の医師を差し引いても約十年で不足数を満たすことが出来る計算が成り立つ。
そして今世紀半ばには医学部の定員が現状のままでも10万人あたり300人以上まで医師が増えることになる。数だけを見れば一部の先進国と同様に医者余り時代がやってくるはずだ。
それでもなお医者の労働力不足要因として上げられるのが今後の高齢者人口の増加、および医学生に占める女子の増加である。近年は医学部生の3人のうち1人以上にまで女子の割合が高まっている。
人材も有限であり財政も逼迫しているのだから新たに多額の医師養成費用や将来の医師の余剰リスクを抱えるのでなく、医師以外の医療職の業務範囲拡大をすることと既に過剰視されている歯科医師の他の診療科への移動を奨励することが望ましいのではないだろうか。
そして何より国民の受診抑制もタブー視せず目標を持つべきだ。
死亡しかねない重傷事故そのものを減らす努力が受診抑制に大きな効果を発揮する。これこそ医師にかかるより遥かに楽な健康を守る方法である。