農林水産省試算 TPPで壊滅する畜産業者

EPA(経済提携協定)・FTA(自由貿易協定)そしてAPEC開催直前まで話題になったTPP(環太平洋戦略的経済提携協定)締結によって日本が世界に対し関税を撤廃した場合、国内の産業にどんな影響を与えるか。
農林水産省が国境措置撤廃による農産物等への影響試算について(品目別)生産量減少率と生産減少額をまとめている。
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/pdf/19_hinmoku.pdf
生産減少額が圧倒的に多いのはコメである。減少額は1兆9700億円に上る。
そしてコメに続くのが豚肉、牛肉、牛乳乳製品である。
それぞれ4600億円、4500億円、4500億円の減少である。
生産量減少率は順に70%、75%、56%。

牛肉は4等級と5等級が残り、そして豚肉は銘柄豚だけが残り後は全て輸入品に置き換わるという。
さらに牛乳乳製品の品目では、鮮度も考慮されるであろう飲用乳でさえ2割が置き換わると見込んでいる。
包括的経済提携に関する資料・農林水産省試算の補足資料によると、飲用乳も輸送技術の発達で輸入が可能なのだそうだ。
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/pdf/siryou3.pdf

貿易障壁を撤廃して、価格・品質といった消費者の視点によって生じた結果ならば公正である。

国内畜産業者を保護してきたというのは消費者から選択の自由を奪って高い製品を押し付けてきたということである。またそもそも肉を余り食べない一部の国民にまで畜産業に関わるコストを転化してきたという側面もある。

例えば今年の春から夏にかけて宮崎県で広がった口蹄疫は、国の多大な税金や人員の投入を受けて処理された。また周辺地域は感染拡大を防ぐ為に交通の規制も受けた。
もし牛肉・豚肉が全量輸入であったら国民はそんな費用や行動の制約を課されずに済んだはずである。

消費者に高い買物をさせた上、業界内で発生する問題を自らの費用で解決できないでいるなら畜産業界は衰退した方が日本全体のためになるのではないだろうか。

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