■政府による株価下支えは余計なお世話
金融庁が証券優遇税制を延長するよう政府に要望するという。株安への懸念、株価を下支えする必要があると判断したと毎日新聞が伝えている。
株が安くなれば、買いたい人が現われる。また資金が潤沢な企業の場合、自社の株が割安だと思うなら自ら買い集めてもいいはずだ。
株安で困るのは、比較的株価の高かった時期に購入してしまったり売りそびれた投資家である。どうして彼らの投資の失敗を政府が未然に防ぐような真似をしなければならないのか。
株価を決定するのは、つまるところ投資家の間の人気だ。企業は投資家から逃げられないよう振る舞い、投資家は投資が無になる危険を負って儲ける機会を窺う。そして投資家にとって株価の変動は大きいほど短期間に儲けを出せる意味を持っているのだ。強欲な一面も持つ投資家など放っておけばよい。
国内にお金はたくさんあるが、企業の投資は低迷していて資金需要はあまりない。現在政府が国民にことさら株式購入を誘導する必要もないだろう。
もし企業活動がそれほどでもないのに、株式市場に資金が殺到したらそれは「バブル」である。その数年後には必ず惨憺たる結果が訪れる。