日本の人口減少 嘆くより受け入れよう

■日本の人口減少のペースが年間10万人突破したというけれど…

12月31日厚生労働省の発表によると、日本在住の日本人の人口の減少は、平成22年の一年間で12万3千人になるという。(平成22年(2010)人口動態統計の年間推計http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei10/index.html
少子化の進行で日本の総人口が減少したうえ増えるのは後期高齢者ばかりと来れば、社会が悪い傾向にあると一般的に受け止められる。
確かに少子化の原因の一端は、子育てのしにくい窮屈な社会にあるだろう。また高齢者層は医療・介護などの費用・手間が飛び抜けて掛かり、高齢者の割合の増加はそのまま社会の負担増となる。
しかし年間出生数を現状より何十万人も増やしてまで1億2千万人以上の日本の人口規模を維持し続けるべきとは思えない。人口が増えたら増えたでまた別の問題が生じるであろうし、若者の人口が増えれば必ず高齢者の支えとして役立ってくれるとも限らない。

■今までの日本の人口構成が歪んでいた

日本の人口を年齢別に見ると、第一次ベビーブーム(昭和22~24年)と第二次ベビーブーム(昭和46~49年)の時期に文字通り一過性である出生数の急激な増加があった。
ベビーブームは学校教育に代表される行政サービスの提供に、「むら」が出来てしまう。恐らく今後の第一次ベビーブーム世代が後期高齢者の年齢に達して以降、今度は介護サービスを巡って「不足や余剰」が発生する可能性がある。
逆に最近20年の日本の出生数は漸減傾向とはいえ、122万人から106万人程度と安定的に推移している。
高齢者の割合が増加するのを恐れて政府が急激な出生数増加を図るのは、そのタイミングで生まれてくる子どもたちにベビーブームゆえの苦労を強いることになる。三度人口の年齢構成を歪ませることは止めたほうがいいのではないか。

■労働力の供給が減っているのに、失業率が下がらない

少子化が進み労働力人口も1998年の約6800万人弱をピークに減少へ転じている。では少子化のせいで労働力の供給が逼迫し、失業率が改善しているかといえば全くそうではない。相変わらず職を求める失業者が2、3百万人も存在し、政府は国民の雇用確保に苦心している。
端的にいって「頭数」は余っているくらいなのだ。

また90年代以降日本人はキツイ・汚い・危険のいわゆる「3K」といわれてきた不人気な仕事を避けるようになり、代わりとして外国人にやらせるようになった。
失業しているにもかかわらず仕事を選り好みし続けるならば、単に日本人の出生数を増やしたところで何ら少子高齢化社会の問題解決に結びつかないではないか。

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