抗がん剤に副作用救済制度は適しているか

28日政府は肺がん治療薬イレッサの副作用を巡る訴訟で、和解勧告を拒否することを地裁に伝えた。
その一方で細川厚生労働相は抗がん剤が医薬品副作用被害救済制度の対象にならない問題について検討するべきと言及した。
そもそも余命宣告をされるほどの末期がんで、選択された治療以外での救済など在り得るのだろうか。

医薬品の副作用による救済とは、その医薬品を使わなくても苦痛なしで何年も生きること出来た可能性が高かったという場合になされることが相応しい。
例えば予防接種による副作用として障害を負った場合は、まさに救済されるべき対象と言えるであろう。接種自体が社会から求められている事情も合わせれば、国民全員で副作用の被害にあった人を支えるのは当然と言える。
また、予め製薬会社や治療に当たる医師が副作用の症状に対する何らかの補償を約束するのも彼らの自由の範囲内だ。

しかし、末期がん等放置しておくと短期間に死に至る病状である場合は話が別である。そもそも治療方法の選択肢が限られていれば患者本人にしてあげられることはそう残っていない。
そして発生した副作用が個別の患者に対しては予知できないものであったなら、遺族への金銭的補償を製薬会社や医師に強いる筋合いはない。

がん治療とは未だ開発の途上である。また一刻でも早い特効薬を望む患者がいる。よって今後もがん治療はたくさんの患者に施され失敗しながら進歩していかざる得ないだろう。
例え患者やその家族が想定外の劇症に出くわしたとしても、国や製薬会社へ非難・金銭的賠償請求することは治療の進歩に寄与しないのではないか。

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