「農家のため残りが犠牲」

「農家のため残りが犠牲」=環太平洋連携の反対論けん制-前原外相
「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか」
「国を開くということを本気で考えないと、日本の競争力はどんどん低下していくと思う」
(時事通信)

自民党に限らず民主党の中にも農業関係者を保護しようとする向きが少なくない。
そんな中での前原外相の踏み込んだ発言である。

農業を例外としない自由な貿易によって、
●国民全体では、世界中から欲しい食料が手に入る
(多分食費が安くなる)
●貿易相手国の関税が下がるので輸出企業の競争力が増す
●農業を含む競争力の無い産業が輸入品増によって潰れ、円高が調整される
●農家が減れば、農家に対する補助金を減らすことが出来る
●農家が減れば農家の使っていた水が不要になり、水不足が解消する
●その他の農政の歳出も減らせる
●農村が消滅すればその集落に公共投資や社会保障も不要になる
など全体的には日本に利益がある。

頑なに外国の農産物輸入を禁じて国内農業を保護しようとしても、すでに農家の高齢化は著しく、いずれ農業従事者は激減する。遠からず過疎地の農村の多くは消滅するだろう。

農業保護に見切りをつけて、人材やおカネを別の分野に振り向けるべきではないだろうか。

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「農家のため残りが犠牲」 への13件のフィードバック

  1. 緑の のコメント:

    私は、国が農業をつぶさないのは、農薬や肥料の会社のためだと思っていました。
    農機具の会社のためだと思っていました。
    農協のためだと思っていました。

    補助金を当てにする農業は、実は、存在自体が迷惑だったのですね。
    私は、利用されているのだと思っていました。

    会社に勤めれば、最低でも週に1回は休めます。
    農業に休みはありません。
    休んだ分が、自分に帰ってくるからです。

    地域の草取り、学校の草取り、全て無料で地域のために働き、休みはなく、収入も農薬や肥料や農機具で半分も残りません。

    本当に、そんな大変なのに収入もなく評価も低い職業は、なくなればいいと思います。

    いつかこの国は、弱い人間は、生きる価値なしという価値観の国になるかもしれませんね。
    そのころまでは、生きていたくないなあと思います。

  2. アホウ鳥 のコメント:

    「恕」の欠如した人

  3. 佐藤健 のコメント:

    >緑の様

    おはようございます。度々のご訪問有難うございます。

    御指摘のとおり農業が利用されていると私も思います。日本の農業の保護や食料自給率の向上など「食料安全保障」という大義名分で。
    ただし、農家自身も経営を国に頼っていることには変わりないでしょう。農協の構成員も元々は農家ですね。

    もし農家が地域活動への奉仕に対価を望んでいるなら、国ではなくその地域住民に要求すべきです。

    コメントを寄せて下さった他の方にも申し上げましたが、「大変苦労した」というだけでは他人(国)に経費の支払いを強要できるものではないと思います。それは他の職業と同じです。
    農作物の場合、例えば米や小麦については国内農家が苦労して生産しなくても外国から輸入して済ますことが出来るのです。
    大変なのに赤字そして消費者には代替物がある、それならそんな事業に国が肩入れするのは無駄です。

    なお一人ひとりの農業従事者が弱者とは思いません。
    そして都市に隣接する農家なら地主という資産家の側面を持っています。
    また私は弱者には生きる価値がないと主張しているのではありません。

    >そのころまでは、生きていたくないなあと思います
    なかなか堂々とした諦観ですね。私のような気の小さい男はそこまで割り切れません。

    コメント有難うございました。

  4. 視野が狭い のコメント:

    緑の人すっごい皮肉だなw

    佐藤君はまず社会に出て経験しなければいけない。

    何にもないもんだから、目先の物だけしか見えてない、全体を見ない、先がみえてないっていうか見ようともしていないだろ。

    なんか自分の世界だけで生きちゃいないかい?

  5. 佐藤健 のコメント:

    >視野が狭い様

    はじめまして。ご訪問有難うございます。

    私について社会経験が足りない、自分だけの世界で生きているというのはそのとおりだと思います。

    視野が狭い様から見た国内農業の存在価値を例示していただけると有難いのですが。

  6. 意地悪おやじ のコメント:

    聞いてばっかりじゃなくて体験してこいよ。
    本当かどうかもわからないような話ばっかり集めてる人には何にも見えないだろう。

  7. 佐藤健 のコメント:

    >意地悪おやじ様

    こんにちは、コメントありがとうございます。

    意地悪おやじさんの仰る体験とは、農業のことでしょうか?関税引き下げに猛烈に反対する農業関係者の反応から国民が高い物を買わされているのは明らかです。結論づけるのに体験の必要は無いと思います。
    所詮社会に対する見方というのは、「本当かどうかもわからないような話ばっかり集めてる」ことから抜けられません。仕方のないことです。

  8. 南野たけし のコメント:

    確かに農協のためとか肥料会社のためという側面はあり、否定しません。

    しかし、もう一つの側面があります。エネルギー(石油など)、主食(=炭水化物=米と小麦)、いくつかの一次産品(鉄、銅、綿花など)の「数量の確保」は安全保障問題=軍事です(価格はマーケットが決めるので、政府は数量確保に専念する)。

    日本ではこのメカニズムが非常によく動いているので、若い方を中心に意味がわからない人が多いかもしれません。途上国はメカニズムを持たないので、よく食糧不足がおき、暴動が発生します。

    日本でも1970年代に冷夏で凶作となり、古々々米を食べましたし、1990年代の凶作では古々米と外国米を混ぜた奇妙な味のするご飯を食べさせられました。それでも輸入できたから良かったのです。

    輸入できないときもあります。2年ほど前にバイオ燃料が流行ったときには、トウモロコシや大豆の数量確保に苦労しました。同じ時期バターを輸入できなくなりそうになった(結果としては確保できた)。今年は小麦の大輸出国であるロシアの畑が火事で焼けたので、小麦の数量確保が難しくなっている。日本はたまたま輸入できているだけで、少しでも国力が落ちると、分けてもらえなくなる。商談に入る前の、「面会予約を取る段階」で拒絶される。会えない、電話に出てもらえない、というやつです。契約締結後であっても、国力の強い国が日本の契約分を腕力で奪い取る事態もあります。買い付け現場はヤクザの世界ですよ。

    このあたりの「数量確保」「軍事」「国力を背景にした交渉」といった思考が欠落していると、国内農業(特に米)を保護する意味を正しく理解できません。

    それから、ヨーロッパや米国も農業保護にもの凄い金額の補助金を掛けていることはご存じでしょうか?日本だけがおかしなことをやっているんじゃない。米国が補助金を出している農作物については、国際交渉の議題に乗せてはならないという国際法が存在することはご存じでしょうか?欧米の農産物は国際競争力が強いと思われていますが、実態は税金を投入して価格を下げている不当廉売です。

    日本の工業品については、70年代、80年代の日米通商摩擦で日本が譲歩しすぎて、関税ゼロの製品範囲が広い。諸外国からしたら、日本とEPA、FTAを結ぶメリットはゼロ、なぜなら関税は最初からゼロだから。もし日本と交渉するなら農業分野しかない、ということになり、必要以上に日本の農業が攻撃されているという側面は、非常に重要です。

    最後に私個人の意見を付け加えると、有毒物質が一杯の中国の水で栽培された農作物は食べたくありませんね。商社は私に食べさせたいのでしょうが。

  9. 佐藤健 のコメント:

    >南野たけし様

    日本の置かれている状況からすると戦争によって食糧確保が困難になるという可能性は少ないと思います。
    日本と領土を巡って争っているのは、ロシア、朝鮮、中国だけです。
    食料自体は毎年世界各地で生産されるありふれた資源ですから、中国が食料を売ってくれなくなったら別の国に輸入先を変えれば取りあえず空腹は凌げるはずです。

    食糧危機の原因として数年に一度来る世界的な凶作が上げられますが、国内生産で対応するより、予め相場が低迷しているときに大量購入・備蓄をしておけば確実だと思います。
    備蓄は国内の天候不順というリスクも克服できます。

    EUの比較的小さな国の農業はともかくとして、北米やオーストラリアそしてニュージーランドは、一戸当たりの農家の面積が格段に広いので日本の農業は機械化による効率性の点で敵わないでしょう。また一部の農産品は収穫に人手がかかるものもありますから、賃金の低い国にも敵いません。欧米と同額の補助金を日本の農家に払っても彼らほどの低価格で販売することは不可能ではないでしょうか。
    また世界の農産物供給国が競って補助金を出して安売りしてくれるなら、輸入国にとっては不当どころか有難いくらいです。

    南野さんのように、中国の農産物を嫌がる人はたくさんいます。ですから農産物の関税が撤廃されても日本の食料市場が中国産一色になることはないと思います。

  10. 南野たけし のコメント:

    ううん、ちょっと。まず、売ってもらえない事態が発生しないはずがない、世界的に生産高が不足するはずがないという思想が間違っているので、どうにかしていただく必要があります。

    備蓄は非常によい考え方ですが、現状でも3ヶ月から6ヶ月程度です。主さんの思想を実現するには2~3年分、あるいはそれ以上の備蓄が必要ですが、それするくらいなら国産のほうが得。民主党政権は、備蓄切り捨て策を断行しています(決定済み)が、何かご意見は?

    1戸あたりの農地拡大策は、自民党が70年代からずっと苦労していて、ようやくコイズミの時代に強制導入した(おかげで農村における自民党支持が減った)わけです。耕作面積は拡大する方向に確かに転換した。それを、努力しない農家に戸別所得保証し、耕作面積が拡大しない方向に戻したのが民主党です。罪深いです。やることが逆。成功している政策を潰したという意味で、極めて小沢的破壊です。たぶん、悪意があるでしょう。

    日本の食糧自給率は、重量ベースで確か60%ほどだったと記憶しています。国際標準と比較して保護されすぎているのは米くらいのもので、その他の農産物に対する補助金はさほど大きくなく、日本の農業はそんなに競争力が劣るわけではありません。

    あなたは若い方でしょう?外国から輸入すればと簡単に発言していますが、外国から買うには、(安全保障や供給不足の話を横に置いて)十分な外貨が必要です。外貨が不足した状態を知らないから、そのような発言を軽々しくするのです。今はトヨタやキヤノンが十分に外貨を稼いでいるから、日本はその外貨であれこれ買い物しているだけ。トヨタとキヤノンの収益モデルが崩れたとき、1億3千万人分の食糧を確保できるかどうか、という視点も必要です。

    その意味で、少し話はズレますが、今の民主党政権は、産業育成策を持たないので、私は非常に心配しています。恐らく戦後初めてだと思います。単に単年度の産業育成策を持たないだけでなく、産業育成のためこれまで継続されてきた補助金制度、減税制度を全廃しようとしている。これは世界的に見て特異な方向性なので、政権の性格を示すものとして注目しています。

  11. 佐藤健 のコメント:

    >南野たけし様

    売ってもらえない事態とは、農産物輸出国の全てに凶作が発生したときです。

    その時に最も確実に頼りになるのは大量の備蓄です。
    食料自給率はそれ程当てにならないと考えています。世界各地の農作物が不作で、日本だけが平年並みでいられるケースというのも稀だと思うからです。

    世界的凶作の原因が日本列島の火山活動の降灰に起因する可能性も含めれば、平年の日本の食料自給率がどうであれ、国内生産ゼロと仮定して数年分の備蓄が必要だと思います。
    備蓄は、穀物の種類(コメか小麦か)や味覚的品質を問わず豊作で相場が低迷している時期に世界中から最も安く大量に購入して置けばよいと思います。

    農産物輸出国の一部が凶作により禁輸に転じても、他の輸出国は売ります。高値で売るまたとないチャンスです。

    高値で買うことが出来る(買うことを期待されている)のは、対外純資産の多い日本です。

  12. 南野たけし のコメント:

    佐藤さんがおっしゃりたいことの意味はだいたい理解できているつもりです。私が危惧するような天候不順は恐らく30年に1度くらいのものでしょう。(商取引の混乱は結構頻繁に起きています。日本は今のところ国力で輸入できるので、話題にならないだけ。)

    とはいえ、経済効率だけ考ればよいのは、モナコやシンガポールのような吹けば飛ぶ国だけでしょう。日本は面積も人口もあり、気候にも恵まれている。とりあえずうまく動いている産業を破壊する必要はない。農業も技術ですから、技術保持、科学技術発展という観点からも保護する価値がある。異常気象や生物兵器テロ、安保の観点からの議論は当然必要で、従って効率一辺倒の議論で終わるはずがない。

    日本が主食を全量輸入するとすると、輸出国はそれを外交手段として使います。日本に譲歩を迫るとき、「米、小麦を輸出しねーぞ」と言えばいい。あるいは、海軍が強い国が、日本の商船を邪魔する手もある。考えが甘いです。皆が仲良くしてくれると思ってはいけない。主食=戦略物資を自力で確保できる国は強いのです。主食を生産できるのに、国内生産をやめるという政策は、ちょっとムリですね。米を生産できる日本は強く、米生産を止めた日本は弱い。

    1970年代に割高で、別に高品質というわけでもない日本の農産物を輸出するなど考えられませんでしたが、今は米、果物、肉、野菜、牛乳などを輸出しています。進歩していないように見えて、実は進歩している。国際競争力を持つ農家が、この日本に出てきた。

    別の話になってしまいますが、日本がガソリンを輸出するなど、以前は絶対に考えられませんでしたが、2000年前後からガソリンを輸出するようになりました。日本が非常に効率のよい精製方法を編み出したからです。原油が15ドルから80ドルに上がったのに、町のガソリン代がさほど上がらないのは、円高と過当競争のおかげだけでなく、生産コストが激減したから。

    「今できないから駄目」で捨てるのではなく、「駄目かも知れないが研究を続けてみる」という姿勢で時間を過ごせば、いつかbreakthroughすることがある。それが将来の国力になる。そういう視点も必要ではないでしょうか。

    今の日本は製造業が衰えてきていて、経常黒字の内訳は投資収益が多くなっています。海外から買う(手持ち資産を減らす)話ではなく、新規の輸出品を開発する(毎年の現金収入源を増やす)方向性の議論をするのが筋だと思います。

  13. 佐藤健 のコメント:

    >南野たけし様

    食料輸出国が自国の輸出産業の利益を逸失してまで(日本に対する)禁輸を外交手段に使うとは、どんな目的があってのことでしょうか?
    同じく(食料でも石油でも何でもいいですが)日本へ向かう船舶を妨害するのは、何を狙っているのか分かりません。

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