専業主婦年金の廃止

産経新聞の報道によると、厚生労働省はサラリーマンである夫(妻)がいる専業主婦(主夫)が国民年金の保険料を免除される現行制度について、適用される年収の基準(130万円)の引き下げを検討する方針を示したという。

この保険料免除制度はサラリーマンの夫を持つ専業主婦独特の特権である。共働き(130万円以上の年収)で家事・子育てをこなしている妻から見れば不公平極まりない。その根本的解決は免除基準の「引き下げ」ではなく免除制度の「廃止」することではないか。

■単なる引き下げでは働くことが馬鹿らしくなる部分が残ったまま
現行ではサラリーマンである夫(妻)がいる主婦(主夫)の年収が130万円に達すると一気に十数万円の国民年金保険料と国民健康保険料を払わざる得なくなる(受けられる給付は以前と変わらない)。だから年収がその基準から「社会保険料相当分の金額」をプラスした範囲までだとムダを通り越して損をしてしまう。これほど勤労意欲をそぐ保険料制度はあるだろうか。

きっと厚生労働省の引き下げ案というのは段々と国民年金をより多くの人から徴収し、公平に近づけるという考えだろう。しかし単に年収基準を引き下げるだけでは、少々頑張って働いたら逆に手取りが少なってしまう「年収の逆転する範囲」が残ったままである。

引き下げでは一部のパートタイマーの労働意欲まで引き下げ、労働市場への供給を不安定にするだろう。

■「専業主婦」がその世帯に有意義なら夫が主婦の分まで保険料を負担すべき
妻が外で働くことをほどほどにし、家事に力を入れることによって夫は外で活躍することが出来るという考え方がある。確かにそういう内助の功で世の男たちが支えられている面は多分にある。

ならば国が主婦(主夫)の年金保険料を免除するのではなく、外から利益を得ている夫が妻の分の保険料まで負担すればよいのではないか。妻のお陰で家庭の外での仕事が上手く行っているなら、当然保険料を負担する分の稼ぎは余分に上がっていると考えられるからだ。

また専業主婦による内助の功をどう評価するのは、夫婦によって様々であろう。国から一方的に社会保険料免除という評価をつけるのは余計である。

年収に制限をつけて保険料の免除をするという制度は、明らかに多くのパートタイマーの女性の労働の妨げになる。自ら暮らしを向上させようとする気持ちを萎えさせている。その報いは社会全体にも必ず跳ね返ってくるだろう。

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専業主婦年金の廃止 への16件のフィードバック

  1. 専業主婦ですが のコメント:

    専業主婦の物です。すみません。
    元々、国の年金の無駄使いのせいで、
    我々、収入のない専業主婦が標的になるのはおかしいと思いますけど。

    夫の収入をやりくりして、妊娠・子育て・家事をこなしている
    専業主婦って、立派な仕事だと思いますが、誰からも賃金をいただけません。

    働きたくても、働けない主婦だっておられると思いますし、
    ひいては少子化につながるので、本末転倒だと思いますね。

  2. 佐藤健 のコメント:

    >専業主婦ですが様

    はじめまして、コメント有難うございます。

    現行の年金制度は、
    ●サラリーマンである夫を持つ専業主婦は「保険料なし」で年金を受け取れるが、自営業の妻は「払わなければ」サラリーマンの専業主婦と「同額」を受け取れない。
    ●子どもを育て上げ、かつ家事の大半を担い続けても妻が「年間130万円以上」働いたら免除が打ち切りになる。
    ●保険料の免除額や将来の給付は、産んだ子どもの人数やその他の家族の人数とは無関係。
    という点で不公平だと思います。「専業主婦ですが」さんはこれらの問題について、どうお考えですか?

    詰まるところ現状はサラリーマンと結婚して退職さえしてしまえば、後は時間の経過で年金受給権を与えているのです。実際に「将来の担い手」を育てたかどうかではないのです。

    妊娠・子育てとは、「立派な仕事」と言う言葉以上の大切な事です。そこは「専業主婦ですが」さんと同じ思いです。

    それならば、夫がサラリーマンか否か、妻の年間所得が130万円未満か否かで特典を与えるよりも、実際に育てている子どもの数を基準に援助されるべきなのではないでしょうか。

  3. 私も専業主婦です のコメント:

    専業主婦って楽して遊んでいるイメージなんでしょうかね?
    私は自分の親、夫の親、両方介護しています。
    介護認定も年々厳しくなって援助もほとんど受けられません。
    そのせいで子供を産むことも出来ません。
    勿論、働きに出ることも。

    これから高齢化社会です。
    親などの介護は全て主婦にかかってきます。
    現在、無賃金で行っている介護費用を
    賃金に換算したら幾ら国の介護に関する予算に貢献してるでしょう?

    色々事情があるのですから軽はずみな発言は失礼ですし
    それを言われたら誰も介護なんて出来なくて
    「姥捨て」が起こりますよ。

  4. 佐藤健 のコメント:

    >私の専業主婦です様

    はじめまして、コメント有難うございます。

    「専業主婦年金」は、配偶者が厚生年金加入者で尚且つ本人の年収が一定額以下の場合というのが条件で支給されます。介護の人数とは無関係です。

    なお、無償である家事(もちろん介護も含んで)有償化する仮定をするなら、結局家庭の負担する社会保険料の値上げ、増税そして「家庭の事情を一切考慮していない現行の専業主婦年金」の廃止も当然でしょうね。

  5. かや のコメント:

    専業主婦は、働かなくても年金を貰える
    正直ズルいと思ってしまいます

    私達若者世代は、低賃金で働き、年金、保険料、
    税金を自分できちんと納めてます。
    税金のために働いているようなもので、
    これだけ必死に納めても将来貰えるかわかりません

    はっきりいって、今の自分の支払った年金で
    お年寄りがのんびり暮らせてる、専業主婦は
    自分の分を納めなくても守ってもらえる
    私たちは貰えるかわからない。許せないです

    これから専業主婦は減り共働きが増えるでしょう
    専業主婦なんて贅沢すぎ。自分の税金位自分で納めて
    ほしいです。若者にすがる今の社会にはうんざりです

  6. 佐藤健 のコメント:

    >かや様

    かや様、はじめまして。率直なコメント有難うございます。
    サラリーマンの専業主婦の年金掛け金優遇(掛け金タダ)の廃止だけでは、とても若い世代の将来給付を劇的に改善するという訳には行きませんが、やはり不公平な制度ですからすぐに廃止してもらいたいものです。

    現行の年金制度は現役世代から引退世代への所得移転という構造なので、世代が若くなるごとに人口が減り続ける限り若者の取り分は相対的に少なくなります。税と社会保険料を合わせた若者への負担は、どの道重くなるしかなさそうです。

  7. 緑の のコメント:

    お久しぶりです。
    民主党政権になり、政治に全く興味を無くしてしまいました
    ではどの政権がいいのかと言われると困りますし、もともとさほど興味はないですが(苦笑)
    そして、民主党から自民党になりました。
    どう変わるのか、見届けようと思います。

    税金の問題は、解決方法がないのではないかと思うくらい複雑です。
    ただ、損得や平等という考えだけで決めてしまうとこれから先の社会はもっと不安定になっていく気がします。

    個人があって、家族の繋がりが出来る。
    ご近所があって地域の繋がりが出来る。
    教育で繋がる。
    お仕事で社会とつながる。
    そのつながりに国がある。
    国同士のつながりに世界がある。
    これらがなくしてはこの地球は成り立たない。
    なのにそのつながりが、家族でさえなくなりつつあります。
    専業主婦は、家族と地域を繋ぐ大事な役割をしていました。
    今は、そのつながりを大事にしてくれている方は、かなり少なくなってきました。

    大変だけど、しがらみを持って生きることは、大事だったのですね。
    そう思うようになりました。
    そういう専業主婦がたくさんいるのなら、私は、税金を文句も言わず払いたいと思います。

  8. 佐藤健 のコメント:

    >緑の様

    本当に、お久しぶりですね。ご来訪有難うございます。
    政治に無関心になってしまいましたか?しかし有権者の無関心も「腐敗」の原因ですからそうも行きませんね。

    専業主婦というか、一般的に言って大人の女性は男性よりも近隣の人々と上手く付き合っている様です。他方大部分の男達は、勤めている世代も時間的にゆとりのあるはずの引退世代も、そこが下手です。男性の社会的に欠けているところを、女性が支えてきた面があるのは認めます。

    さて、パートタイマーに代表される比較的低賃金の女性のうち、特にサラリーマンの夫を持つ女性の労働時間を一律に所得額で抑制しうる社会制度って、本人やその家族そして地域に利点のほうが多いのでしょうか。私は、当然本人や家族の観点からは彼女たちの考えで働く量を決めればいいと思いますし、地域の繋がりに必要な時間の確保は何か別の方法を探るべきではないでしょうか。

  9. nonbiri のコメント:

    はじめましてnonbiriです。
    専業主婦から年金を徴収することに私は大賛成です。
    働きながら子育てをしている主婦は昨今非常に多くなっておりその方々に対して非常に失礼だと思われます。公平にするのであれば年金を支払っている主婦に対してもっと手厚い受給年金額にするべきだと思います。
    また、自営業の専業主婦に対してはあまりにも酷過ぎる制度だと思われます。
    年金は支払ったものだけが受け取れるそうゆう制度に改革されることを願います。
    消費税を増税する前にこちらを優先していただきたいものです。

  10. 佐藤健 のコメント:

    >nonbiri様

    はじめまして、コメントお寄せいただき有難うございます。

    恐らく専業主婦のほうが少数派です。そして数多くの兼業主婦が「掛け金タダ」の恩恵を受けるためにもパートタイマーとして、働いています。

    専業主婦のいる家計からも、主婦の分の年金の掛け金(や健康保険等社会保険の掛け金)を徴収するようになれば、大多数の兼業主婦がもっと生き生きと惜しみなく働くことでしょう。

  11. pin のコメント:

    専業主婦も年金や健康保険料を支払うべきだと思います。
    1号の女性は支払ってます。なぜ、3号だけ2号全体で負担しなければならないのか?
    私は正社員で働いています。私の保険料も専業主婦に使われてるのかと思うと、嫌です。よく専業主婦の方は「家事も子育てもやってる」といいますが、だったら旦那に保険料を支払ってもらえばいいのではないでしょうか?2号の女性だって家事も子育てもしてますよ(笑)

  12. 佐藤健 のコメント:

    >pin様
    はじめまして、コメント有難うございます。

    そうです、2号の女性も(良いか悪いかは置いといて)家事、子育てそして介護まで当てにされているのが現実です。

    そして、平均すると専業主婦のいる家庭と、共働きの家庭では子供の数に変わりが無いそうです。(要するにどちらも約2人!)

    家事の対価として年金給付を求めるというのも、私には納得いきません。給付は、事前に保険料納付が済んだ後での対価のはずです。

  13. 現在大学生 のコメント:

    私は専業主婦が年金をもらうことには以前から反対でした。
    私の親は共働きで祖母の介護もしています。上記に専業主婦だが親の介護もしていると書いている方がおられましたが、働きながらも介護をしている人もいます。その面で専業主婦は楽をしているのではないでしょうか?やはりこの年金制度は不公平極まりないと感じます。

  14. 佐藤健 のコメント:

    >現在大学生様

    はじめまして、コメント有難うございます。

    そうです、外で仕事をしている妻だからといって、決して家事(や介護)を他所の人にタダで引き受けてもらっている訳ではないのです。なおフルタイムで働いている既婚女性も、平均すると専業主婦とそれほど変わらない数の子供を出産していると思いますよ。

  15. まゆみ のコメント:

    不公平だからってやめるって言うこのはちょっと違うきがしますが。
    それだったら追いついてない方を良くするよう働きかけた方がいいと思います。
    外で仕事してるのだけが尊いような感覚は とても偏った視野に感じます。
    主婦いないと困る所沢山あると思いますよ。
    働いている方ができないから 働いて無い方がになわざるを得ない事って沢山あると思います。働いている方達が主婦の方達に頼ってる部分ってあると思います。
    確かに楽してる人もなかにはいるでしょうけど、その方たちを楽させてるのが気に食わないと楽するのを辞めさせたいいう思考でいくと、本当に頑張ってる人達が巻き込まれて報われません。社会保障の本末転倒のようなきがします。

  16. 佐藤健 のコメント:

    >まゆみ様

    コメントありがとうございます。

    まゆみ様は「外で仕事してるのだけが尊いような感覚は とても偏った視野に感じます。 」とご指摘されますが、外で仕事をする人がいるから、おカネが役に立ちます。外で仕事をする人が多い程、商品やサービスが豊富になり、おカネの使い出が増します。当然、老後の暮らしを支える年金制度もその恩恵を受けます。(外の仕事から退けば、おカネを使う一方なんですから尚更です。)

    おカネを稼ぐ労働と家庭内の労働、どちらにどれだけ資源を割り当てるか(尊ぶか)は各自の自由です。ただし「核家族」が主流の日本社会ですから、体を動かすことがキツくなる老後は、おカネで日常の問題を埋め合わせせざる得ない場合が増えます。もし家庭内労働に勤しむ世帯がより多くなれば、老人世帯とって更にツラい状況になるはずです。

    さて不公平な現行の年金制度は、「厚生年金に加入している人(同様の年金制度の下の公務員も含む)の配偶者」、「年収130万円以下」という二つの条件さえ満たせば「年金保険料・健康保険料タダ」です。「働いている人の出来ない事を担って」いなくとも、「頑張って」いなくとも「タダ」なのです。

    確かに共働きの世帯が他の世帯の厄介になっている所は、多少あるでしょう。しかし上記の二つの条件で「厄介」を受ける者の推定をして年金保険料無料で償うとするのは間違っていると思います。その条件を満たす対象者の受ける厄介は、「少々」あるいは「皆無」かもしれませんから。

    「不公平」な制度なら、至急やめるべきです。
    より多く働くと手取り収入が減少する部分がある現行年金制度こそ、「むくわれない」社会の一端ではないでしょうか。

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