東日本大震災の被災地の首長たちが訴えている要望の中には、被災者が「二重ローン」状態にならない様にすることがある。
しかし当人に同情すべき事情があって借金返済に行き詰るのは、この度の震災被災地域に限らない。大規模な災害など関係無しに隣近所の火事が原因で自宅までダメにされることもある。また震災が切欠の「商品の供給不足」「自粛」「風評」で企業が倒産するのは現在全国で見られる。
東日本大震災やその被災地だけを特別扱いするのは不公平ではないか。
■そもそも「持ち家」を手に入れるのは贅沢なこと
家族が生活していくには、必ずしも持ち家が要る訳ではない。家族構成や仕事の都合に合わせて借家を転々とするのが無駄が少ない。逆に購入者の希望を深く反映した住宅を何千万円という借金をしてまで手に入れるのは借家生活に比べると贅沢な面がある。ともかく様々な理由で借家暮らしせざる得なかった人が納めた税の一部を被災者の持ち家の保護へ使うのなら、それは余計な「持ち家優遇策」だ。
また「保険」という制度が存在しながら、自然災害を受けた後から補償を要求するのも感心しない。現に「地震保険」の掛け金を払って備えてきた世帯もあるはずだ。
■業界が過当競争なら被災を機に廃業するのも良い
建物や設備を復元しても津波のさらって行った人命は帰って来ない。単なる復元では津波に弱い町のままである。そして何十年前から人口が減少基調の町を何の改善無しに国費を投じて再建するのはそれ自体勿体無い事業だ。
日本全体で被災地が失った供給力を補うことが出来るなら(即ち以前から過当競争や過剰設備なら)、市場は何の問題も無い。むしろ競合していたほかの地域の企業は、業績が改善するであろう。
被災地を一律に借金棒引きにするのは、資産のある世帯や元々大した利益の見込めない事業まで税金で救うことになってしまう。
必要なのは返せなくなった借金せいで自殺が増加しないよう、個別の家庭の事情に応じた迅速な破産手続きを進める政策ではないだろうか。