商品価格を統制しようとする愚策

『…TPPとは「他国から製品・サービスが安く入ってくる」事になるため、デフレを悪化させるのも確実です。何ゆえに、デフレに悩む日本が、「他国から安いものが入ってくる」TPPに参加しなければならないのでしょうか。』
作家・経済評論家の三橋貴明氏は日本がTPPに参加することへ疑問を呈している。(「新世紀のビッグブラザーへ」http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10766886125.html

家庭でも企業でも購買する側に立つ局面なら世界中から欲しい物を購入できる方が良いに決まっている。生産性を無視してまで物価下落や雇用減少を阻止しようとする三橋氏の考えでは、世界の経済の流れから取り残されるに違いない。

■世界の相場を無視して高い物を買い続けなければいけないのか

三橋氏はデフレ状態を日本の最大の経済問題と捉えている。確かに販売単価が下がり売り上げ全体が縮小している多くの企業はその通り苦しんでいるだろう。
しかし同じ市場に続々と新規参入してくる企業があれば、競争のせいで価格低下は免れられない。少数の企業間競争でも生産コストの削減が出来ればやはり価格が下がりうる。

そういった経済原理に背くかのように貿易(自由競争)を制限して弱い産業を守ったところで、代わりに国内の生活コストは海外に比べ割高となる。国民の生活にお金がかかるなら、彼らを雇う企業にも高コストのしわ寄せがくる。
自由貿易で淘汰されるはずの国内産業(雇用)を保護するせいで、消費者、自由貿易体制で生き残れる企業そしてこれから人材を求めようとする新興企業も迷惑を被る。

■世界の物価に日本を合わせていくしかない

世界は、日本人よりずっと低賃金で働く労働者や失業者で溢れている。そんな中で今までと同質の商品を同じ生産性で提供し続けるだけで途上国との所得格差を維持しようとする考えがそもそも甘いのだ。
今のところ、日本国内には大部分の国民を養うほどの希少な鉱物資源がない。恐らく将来にわたっても毎年数千万人を潤すような資源は発掘されないだろう。日本人は高所得を得られる特別な立場にはない。
ならば、日本人は世界の経済的潮流に合わせてその物価や賃金を受け入れるしかないではないか。

カテゴリー: 分類無し タグ: , パーマリンク

商品価格を統制しようとする愚策 への2件のフィードバック

  1. yasu のコメント:

    TPPで輸入デフレというのは、相対価格と一般物価の混同という失笑物の間違いなのですが、そういった理論が仮にわからなくても、TPPが合意され、調印され、発効し、さらに猶予期間が終わるのは十数年も先の話なのに、足下のデフレと絡めた批判をするなんてマヌケ以外の何ものでもありませんね。それとも、デフレがあと十年以上も続くことを期待しているんでしょうか。そうなればTPP以前に日本はもうボロボロでしょうね。

  2. 佐藤健 のコメント:

    >yasu様

    はじめまして、コメント有難うございます。

    yasuさんの仰るとおりだと思います。

    しかしデフレに苦しんでいる方はたくさんにいるにしても、何で三橋貴明氏の考えがここまで支持されるのかが不思議でなりません。
    しかも日経ビジネスオンラインでも取り上げられるなんて!

    このまま日本人の労働の価値が下がっていけば、途上国への仲間入りですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です