円高を止めるなら

■円高傾向を止めたいなら外国からモノ・サービスの購入を増やす他ない
円高が進んでいる。一時1ドル85円を割り15年ぶりの円高水準となった。
毎日新聞によると直嶋正行経産相は「日本企業は大きな為替リスクにさらされており、これがフェアな競争条件か考える必要があると思う」と話したという。

しかし経常収支(貿易・サービス・所得)が黒字基調なら通貨高になるのは自明である。日本の経常収支はもう30年近く連続で黒字のまま推移している。円高は善悪の話ではなく、当然の帰結である。
世界市場で稼いでいる企業なら、生産部門を出来るだけ低コストな地域に移すのは当然の行為である。日本が比較的高コストなら出て行くことになる。企業は利益を生む場合のみ存続できるのであり、雇用のために存在している訳では決して無い。

もし日本政府が国民の雇用のために、海外移転や廃業の危機に瀕している企業を引き止めたいなら円高の影響に見合った利益を企業に与えるか円高そのものを是正するしかない。前者なら税金の引き下げや企業の活動に足かせになっている法制度を変えることがあげられる。後者は輸入拡大だ。

税金を引き下げるのはいいが、減税にも限度がある。法制度も何かしらの意義があるので、「無法」と言うわけには行かない。
企業活動がより活発になった結果、輸出企業がさらに輸出額を増やせば、円高はますます進んでしまうかもしれない。
結局は儲けた分だけ、使う(輸入する)ことが根本的な解決だ。

直嶋経産相はフェアな競争条件と言及したが、そもそも日本自体が海外に対して(そして国内の新興企業に対しても)公正であったろうか。
国内産業の保護・育成を大義名分として閉ざされた市場ではなかったか。
外国の企業に取って代わられるはずの会社を潰さないで置くのは、円高を招いて輸出企業を苦しめるだけでなく、消費者に狭い選択肢と物価高を押し付ける。長期的には資源の有効な配分を損ない、国を衰退させるのではないか。

世界の新興国の人々が低賃金で働き、日本の地位を脅かしている。そして日本は今後急激な労働力減少に向かうこともあり、なおさら人的資源をムダに出来ない。相対的に弱い企業には早々と退場してもらうべきなのだ。

カテゴリー: 経済 タグ: , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です