■日本からヒト・モノを送り込むには遠すぎる
今年1月に発生したハイチの大地震の国際的な復興支援はまだ続いている。自衛隊も2月からPKOの一環として参加し、8月下旬には3次隊が出発するという。
肝心の活動内容はというと、
陸上自衛隊の施設部隊を中心とする隊員を派遣し、がれきの除去、道路補修、軽易な施設建設等の業務を実施
(内閣府国際平和協力本部事務局)
だそうだ。これらが自衛隊を海外派遣してまで取り組むに相応しい作業なのか大いに疑問が残る。
自衛隊は日本でも将来必ずやってくる大地震から国民守ることを期待されている。人命救助の錬度を上げるためにも国外で活動する機会を利用しない手は無い。もちろん外国の被災者の役に立つ。
しかし下敷きになった人の救出や一刻を争う傷害の治療が済んだら、後は現地や近隣諸国に任せて帰還すべきではないだろうか。
被災国の国民が日本人より所得の低い国なら、自衛隊員に高い給料を払って作業させるより現地あるいは近隣の人々に仕事を与えた方が有効なお金の使い方だと思う。低賃金で働いてくれるし、彼らの生活の糧を得る助けにもなる。先進国の人的な援助が必要だとしても、比較的近い国が当たるのが派遣の効率がいい。ハイチの場合なら、アメリカが至近だ。日本の位置からはほぼ地球の反対側にある。あまりにも遠すぎやしないか?
遠い被災地を助けるなら、資金援助で役立てばいい。
ハイチの災害に対する自衛隊の出動は遅すぎた。海外の震災にも向き合うつもりなら、救助に当る人の周到な準備と政治家の素早い決断が不可欠である。