解雇解禁待ったなし

河合薫氏が日経ビジネスオンライン(2010/10/14)で解雇解禁論に疑問を呈している。

記事では日本航空のパイロット達への事実上の退職勧告の話を引き合いにしながら、今後企業の人員削減手段が希望退職から整理解雇へと急速に変わらないかと懸念をしている。

整理解雇について(1)人員整理の必要性、(2)解雇回避努力の履行、(3)対象者選定の合理性、(4)手続きの妥当性からなる4条件に触れている。(但しこの記事に限らず日本航空の人員整理に関する報道はこの条件について言及しているが)
しかし日本航空の実態は債務超過、事業の多くが赤字、特別に政府や金融機関から債務免除を受け、さらに今後も融資を受けなければならない身である。
河合薫氏は、この機に及んで整理解雇の4条件が一気に破られるのではないかと危惧しているが、おそらく日本航空は4条件を満たしての解雇と認められるだろう。

以下は河合氏の記事から四箇所の部分的な引用である。
「日本株式会社」を救うために解雇規制の緩和を進めることは、本当に「○×株式会社」のためになるのだろうか。ましてや、一人の労働者にとって、それが本当に幸せをもたらすことになるのだろうか

年功序列に基づいた賃金体系は、そんなに悪いことなのだろうか。「40歳になれば、これくらいもらえる」という定額昇給のモデルがあるからこそ、子どもを持ったり、マイホームを計画したりできることだってあるだろう

解雇規制の緩和などを当てにするのではなく、「この人はうちの会社でずっと働いてもらいたい」と企業が考え、「ずっと会社のために全力を尽くしたい」と労働者の側も思う。このように雇う側と雇われる側の双方の思いが採用の過程で合致するような仕組みを考えるべきだ

○×会社の社員で、△という職種に携わっていることで得ている報酬は、リタイアするまで最低限保証され、その後はある程度の年金が支払われる。よほどの事件が起きない限り、○×会社は存続し続けるだろうし、自分の未来はそこそこ予測可能である

多くの会社は売り上げが停滞したり、外国の企業との競争に晒されて苦しんでいる。かつて一流企業と呼ばれた会社の中にも、現在は企業年金債務のような負担の為債務超過の危機に瀕しているところもあるようだ。

名だたる企業の赤字転落や債務超過という栄枯盛衰の現実の前に、生涯同一の企業で労働者を幸せにするとか年功序列や終身雇用の肯定は会社の将来に対する河合氏の見通しが甘すぎるのではないか。

世界には日本人の賃金の十分の一程度で働く何十億人といる。
そんな相手と競争する中、どうして賃下げや解雇から目を背けることが出来ようか。

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解雇解禁待ったなし への1件のフィードバック

  1. アホウ鳥 のコメント:

    「恕」の欠如した人

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